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独立器官

村上春樹氏著の「女のいない男たち」に収録されている3本目の短編を読み終えた。

タイトルは「独立器官」だ。
順風満帆に見える整形外科医が、恋に落ち奈落の底に転落していく様が描かれている。

恋煩いで死ぬことなんかあるのか、と思ってしまったが、たぶんそれを体現してしまったであろうこの医師の姿は哀れであり、本当の恋を知らなかったであろう彼には刺激が強すぎたようだ。

思い返してみると、私も今の旦那と付き合っていた時一度別れて欲しいと言われ、人生の終わりを感じ電車に飛び込んだ方が楽になれるのではと駅のホームで思ったことがある。

誰かに入れ込む怖さはそれなりに分かっているつもりだ。でももう少しその医師にも頑張って欲しかったというのが本音だ。

時間は確実に人を癒してくれるし、私も今旦那にそこまで心酔することはもうない。

恋は盲目という陳腐な使い古された言葉で締めようと思う。

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