#351 昂る感情

試合前の練習で先輩方もいつもと違う緊張感を漂わせていた。そのことからこの日の対戦相手がこれまでの相手とは違うかなり手強いことを感じずにいられなかった。
相手チームはラグビーサークルではなく、準体育会という括り。
そのことがサークルチームとは違うという自負が強いのか威圧的な空気を感じた。
試合前練習が終わり、いよいよ試合が始まる。
両チームがハーフウェイラインを挟み向かい合う。
早大GWラグビークラブのメンバーの鋭い視線が僕らに降り注がれる。
何とも言えない緊張感の中、キックオフの笛が鳴る。
キックオフで自チームのキッカーが深く蹴り込んだ。
相手のモールから出たボールは陣地挽回のタッチキックを蹴らずにバックスがボールを繋いできた。
僕らはその攻撃にしっかり対応し、バックス陣がディフェンスで前に出た。
僕の対面となるウィングにボールが繋がり、走り抜けようとしたところを僕はタックルで前進を阻止。
相手の先制攻撃を寸断することに成功。自陣で最初からボールを繋いでくるとは僕らが完全に下に見られている。
僕らはその事実にも冷静に対処し、相手のやや強引な攻撃を止め続けた。
前半は一つトライは取られたものの一進一退の攻防が続く。
ハーフタイムを挟み、始まった後半。前半の疲労が徐々に出始めたのか少しずつ、相手の突破を許してしまう。
時間の経過と共に相手の得点に結びついて行った。
後半の後半はやや一方的な展開となり、点差が開いてしまう。
それでも食い下がる自チームの選手が相手のラフプレーに合い、目の下を出血。残念なことに相手チームのやや手荒いラフプレーが時折出て、実に後味の悪い試合となった。
僕らは1つトライを返すのが精一杯で、50点以上の差を付けられ敗戦。
折角良く練習をしている強いチームなのに、格下チームに対するラフプレーはいただけない。かなり腑に落ちない悔しい気持ちに包まれる。
点差はついてしまったが、最後まで食い下がる試合だったので、先輩方も試合後の反省で気持ちが昂っていた。
続く…


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