#353 違和感

悔しい敗戦に遠ざかって行った恋路。
ニュージーランドからの帰国と気になる子との恋が上手く行きそうな感触を得て、高揚感を感じていた気分から一転。
これまでの高揚感が嘘であるかの如くの落ち込み具合だった。
人を好きになるということは大きなエネルギーを生み出す。
上手く行っている時は生きる原動力に、その逆は萎れかかった植物の様に項垂れることとなる。
同級生Mも気になる子も僕に意識的なのか近づいてくることは無かった。
翌日は午前中に練習を行い、練習が終わると大騒ぎで写真撮影が行われた。
チーム全体での集合写真を皮切りに各学年毎の集合写真と撮影が次々と行われた。
一年生はなぜか毎年恒例だという全裸になり、陰部を自分のラグビースパイクで隠すという過激な写真を撮影。
前日の飲み会では一年生が芸を披露していた。その時も一部の同級生が半裸の状態だった。僕は女装し、その半裸の同級生とコントの様なことをした。
前夜は僕らの出し物にヤンヤの歓声が飛んでいた。
一通り写真撮影が終わるとこの夏合宿も終わりを迎えた。
あとは東京へ帰るのみとなる。
行きと同じく、車で来た先輩に振り分けられ帰京。
ラグビー夏合宿のメッカ初菅平は少し苦々しい思い出となった。
本来、ラグビーの夏合宿というのは気が遠くなる位厳しい行事のはずだが
ラグビーサークルの夏合宿は練習もスケジュール自体もさほどきつくなく、どちらかと言えばレクレーション的な楽しいものだった。
2週間程オフの後、9月中旬から始まる公式戦へ向けて、準備を進めることとなる。
僕は夏合宿初日で負傷した足を完全に治しつつ、シーズンインに向け調子を上げて行こうと気を取り直していた。
チーム自体の練習は2週間休みだが、ジムでのウェイトトレーニングと近くの公園へのラントレーニングは定期的におこなった。
負傷した足を少し庇うように走っていた為か右足の太もも部分に違和感を感じた。時間が経てば違和感も感じなくなると思っていたが一向に解消されることはなかった。
続く…

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