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ビールの売り子は顔じゃない。

私はアルバイトでビールの売り子をしています。
売り子と聞けば野球を想像する人が多いのではないでしょうか。
私はサッカースタジアムでビールの売り子をしています!
セレッソ大阪とガンバ大阪のスタジアムで販売しています。
時々京都サンガのスタジアムでも販売しています。
売り子歴は現在3年目です。
1年目はもうボロボロやったけど2年目は年間売上杯数1位を取れました!
そんなボロボロから1位になった私の販売のコツを紹介します!

売り子を始めたのは3年前。
きっかけはめっちゃ軽い気持ちでサッカー好きやし楽しそうやしやってみよ、といった具合。
初めての出勤日、緊張しながらスタジアムに向かったことを今でも覚えてる。
ビールの注ぎ方も樽の繋ぎ方も分からずの状態で研修を受けた。
その研修でビールをぶちまけて全身で受け止めた。
もちろん私だけじゃなく周りのみんなにもかかってしまってその場から立ち去りたかったし向いてないなって思った。
ビールの注ぎ方もイマイチで泡だらけ。
売り方としてはとにかく階段の上り下りをしてお客さんの目の止まるように動くこと。
そのポイントだけを伝えてもらった。

そのまま着替えていざスタジアム内に。
この日はガンバ大阪のスタジアムでした。
ガンバのサポーターさんは本当にチームが好きっていうのが伝わってきて熱心な方が多い。
スタジアムに入るとその熱気に飲み込まれた。
何よりフル装備で15kgほどあるビールサーバーが重い。
"ビールいかがですか〜"と決まり文句のように言う売り子の掛け声も恥ずかしくて言えずただ歩いていると初めてお客さんの手が上がった。
初めてビールを注いでみると泡と液の比率が7:3。
逆黄金比率でもちろんお客さんも苦笑い。
今日から出勤でまだ慣れてなくて…頑張るのですみません…。と言うしかなく。
もう全然売れへんし重いし早く帰りたいとしか思ってなかった。
販売時間が終わって基地に戻るとベテラン売り子さんは私の倍以上の販売数。
負けず嫌いの私でも火が付かないくらいしんどくて悔しさより向いてないなってショックやった。

筋肉痛で動きたくないけど翌日セレッソ大阪のスタジアムでの初出勤。
個人的に中学校の頃から柿谷曜一朗選手がすごい好きでワクワクしてた。
ただそのワクワクも出勤前だけでいざスタジアム内に入れば全く売れない、何より重い。
昨日の筋肉痛がさらに私を痛めつける。
そんなマイナスな感情を募らせながら勤務終了。
もちろん全く売れず、ベテラン売り子さんとは本日も倍以上の差。

そしてその翌日は京都サンガ初出勤。
開幕3連勤を皆勤しました。
とりあえず筋肉痛がすごいけどやり切るしかない。
もう無心で販売してこの日も全然売れずに終了。
売り子の世界ってめっちゃ華やかに見えるしキラキラしてるけどその分努力はすごいんやなって身に染みて感じた3日間やった。
辞めたいくらい辛いし向いてないと思ったけど先輩売り子さんには"初めは全然売れへんけど慣れたら売れるようになるよ"って言われたからその言葉信じてもう少し続けることにした。

先輩の言葉信じて出勤し続けて2、3ヶ月が過ぎた頃、ようやくサーバーの重さにも慣れてきたし、大声でスタンド内売りまわるのも恥ずかしくなくなった。
慣れてきたら負けず嫌いが出てきて1位になりたいって感情が出てきた。

そこで私は1日だけ販売杯数を気にせず、ベテラン売り子さんを目で追ってどんな行動をしているか見る日を作った。
私との違いは販売開始すぐに気付いた。
ベテラン売り子さんはスタジアムに入ると既にお客さんが待っているから常連のお客さんの元に自ら販売に行く。
その時間の私はあてもなくお客さんの手が上がるのを歩きながら探す時間。
開始すぐに差が生まれていたのだ。
ベテラン売り子さんは1杯目からビールがなくなるタイミングを伺って何回も常連さんの近くを通っていつでも買える状況を自ら作って計算して販売していた。

私は常連さんを作ることを始めた。
まず"全て記録に残すこと"
試合日・天候・対戦相手・結果の試合内容全般に加えて販売杯数・お客さんの名前・よく買ってくれた方の座席と特徴。
こんな感じで書き出した。

これをやり出してから常連さんが増えはじめた。
ここからはセレッソのお客さんを軸に話していきます。
個人情報やから上の画像には試合内容のメモしか残してないけど、お客さんの座席と特徴を書くっていうのがすごく良かった。

このことから活かせたことを簡潔にまとめます。
①お客さんを知るからお客さんも私を知る。
常連さんを作るってなったら"お客さんに私を知ってもらおう"って考える人が多いと思う。
もちろん重要で間違ってもいない。
ただそれはお客さん任せで売り子側の努力はゼロ。
知ってもらうならまずは自分が知ること。
お客さんの特徴や座席を書き出したメモを使って会話に織り交ぜてアピールをする。
例えば、"先週の試合も私から買ってくださいましたよね"といった具合に覚えてるよ!ってアピールすることでこの子覚えてくれてるんやってなって相互の認識に繋がる。
すると自然にまたこの子から買おうっていうサイクルが生まれる。
また、単にお客さんを知るだけじゃなくて興味を持ってたくさん知ろうという気持ちが大事。

②サッカー好きを最大限に利用せよ。
これは私が元々サッカーが好きやから活かせたことかもしれませんが。
周りの売り子は特にサッカーが好き、セレッソが好きやから売り子してるっていうよりは単純に給料がいいから始めたって子が多い。
だから私は他の売り子と差別化するためにサッカーの話を織り交ぜる。
それはセレッソだけじゃなくて、時期によっては日本代表のことであったり色々と。
会話づくりのきっかけになるように毎試合柿谷選手のタオルマフラーを巻いてる。
そしたら初めて買ってくれるお客さんでも"柿谷好きなんや"とかいう風に話しかけてくれる。
また私の目印にもなる。
これも他の売り子と差別化できる。

③自分を広告せよ。
知ってもらうのに1番簡単なのが皆勤すること。
毎試合いると"今日も頑張ってるね"と声をかけてくれる方が増えて、ビールを買ってくれることもあった。
セレッソ大阪u23のJ3の試合でも売り子があり集客数はJ1に比べてグッと下がります。
しかしその試合も私は毎試合出勤しました。
J3に来てるコアなファンの方ほぼ全員はJ1の試合に来ている。
皆勤することが広告となり認知度が高まり色んな場面で私のプラスに繋がっている。

こんな感じで私は取り組んだ。
この甲斐あってかスタジアム最高販売杯数も記録として持っています。
やってることは至ってシンプルですが、あとは気持ちです!
あくまでもお客さんはサッカーがメインで、それを楽しむためのビール。
だから誰から買っても同じ値段の同じビールで味も変わらん。
それでも有難いことに私を待ってビールを買ってくれるお客さんがいらっしゃいます。
お客さんは無意識のうちに売り子に何かを求めている。
それが私はトークなんじゃないかなって感じています。
スタジアムのビールって正直めっちゃ高いです…ヤンマースタジアムは600円です。
そんなビールを買うなら楽しく話してくれる子がいいですよね。
あと、ここでもう一つ私が意識してることはどんなにしんどい後半の時間帯でもスタジアム内に入れば常に笑顔でいること。
これも至ってシンプル。でも実際やってみると1番難しいです。
雨で売れない日、寒くて売れない日、お客さんが少なくて売れない日、色んな条件でビールは売れなくなることがあります。
でもそれは単純に私にとってのマイナス要素。
だから常に笑顔で私もお客さんと一緒に楽しめばいい。
笑顔は自然にお客さんを惹きつけます。

売り子ってある意味ユニバのクルーと似てるんですよ。
お客さんにエンターテイメントを届けて笑顔になって帰ってもらう一種のクルーでもあって、売り子っていうのはただビールを販売してお金のやり取りをする人。
私は前者でありたいし、そこを追求し続けたい。
人ありきやからもちろん楽しいことばっかりじゃなくて厳しいお声を頂くこともあります。
それでも笑顔で続けられるのは私を待ってくれてるお客さんが居るし、一言一言ほんまに嬉しい言葉をかけてくれるお客さんがいるからです。
私はそんなお客さんに全力でお返ししたいです。
だから私は常に全力で笑顔でエンターテイメントをお届けします!
今はコロナで試合がないけど再開したらまた笑顔でお会いできる日を楽しみしています。

すごく長くなってしまいましたが…
わたしが意識していることです。
本気でやってることが伝わって、何か少しでもプラスになってくれると嬉しいです。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!

📍セレッソ大阪 ヤンマースタジアム長居
📍ガンバ大阪 パナソニックスタジアム吹田
📍京都サンガ サンガスタジアムbyKYOCERA

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