30半ばの夏休み

 「人を好きになったことあるの?」と真顔で好きな人に言われたことありますか? わたしはある。こんばんは、小田急のケルベロスこと沖さやこです。

 小田急のケルベロスという二つ名はとあるバンドのドラマーさんからいただきました。「二つ名が欲しい」というわたしのツイートを受けて直感でつけてくださったようですが、「ハマの狂犬」とか「ナニワの帝王」とか「歌舞伎町の女王」など土地が入るべきスペースに移動手段が入るところに、わたしの根無し草感と会いに行く感がよく表れていますね。さすがです。ありがてえ~。

 そんなわたしですが、いちばん読者さんから言ってもらうことが「文章に愛がある」です。わたしは愛をこめようと意識して書いたことは一度もなく、とにかく自分なりに「評論」という職務を全うすることを愚直に、誠実に取り組んできただけだったので、そう言われることがとても意外でした。でもそれを愛と呼んでいただけたことは、心からうれしいことでした。

 わたしにも好きなバンドやアーティストはたくさんいるけれど、自分の「好き!」を原稿で伝えたいとはこれっぽっちも思いません。そのへんは去年「就職できなかったフリーランスライターの日常」でも書いていますが、わたしはただただ自分なりの評論をしていきたいと思っています。もちろん技量はまだまだなんだけど。

 ネクストブレイクアーティストではなく、自分の感性が反応するアーティストを探したい。そのアーティストに愛を伝えるのではなく、その時その時のそのアーティストのいいところや個性を言葉で表して、広い世界に伝えられるようになりたい。それがずっと変わらないわたしの理想です。そのためにも必要なことがたくさんあるなあと思ってます。

 8月末に両目を痛めて、残暑が厳しいなかで布団に寝転がって、金属バットのラジオバンダリーを聞きながらずーっといろんなことを考えていました。たまたま今月はスケジュールにも余裕があったので、治ってからもずーっと考えていました。結論は出ていないとはいえ自分が何をするべきなのか、立体的に考えることができた気がします。

 これまでずっと目の前のことに対してがむしゃらに生きてきたから、こんなに未来のことを考えたのは人生で初めてだと思います。だから新鮮な気持ちで目の前にあることに当たれそうな気がしています。

 今月は謎の美少女アシスタントにケツを叩かれて音声ブログも始めたし、お世話になってるバンドマンさんに「小説書くの向いてると思う」と言ってもらったのがきっかけで小説っぽいものを書き始めた。そして既存のセオリーにとらわれずにオープンな活動をするアーティストさんに接する機会が多かった。

 5年前に仕事がないから書けるところを作りたいという気持ちで設立したワンタンマガジンだって、もっともっと面白い動きを見せられるはずだ。「わたしなんかが」というネガティブ思考にとらわれながら生きてきたけど、曲がりなりにも後ろ盾もなく9年この仕事をしてきたわけですし、ありがたいことに認めてくださる方々もいらっしゃる。ただ重いだけの荷物は捨てて、いろいろがんばりたいなーと思ってます。傷跡は消さないままで。

 今日は秋分の日。いい夏休みを過ごしました。ただ夏休みだったぶん来月の収入めちゃくちゃ少ないだろうな~~~~!!! クレジットの支払いがこわい!!!!!!


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