見えないものを画像化する困難
パソコンでソフトウェアを使っていると、そのユーザーインターフェイスにアイコンが使われていることがある。ソフトウェアの機能や入力方法などについて、文字で書いてあるより、絵や記号になっているほうがわかりやすいこともあるためだ。
だが、この「機能のアイコン化」はできるものとできないものがあるだろう。例えば「切り取り」なら「切る」行為から「はさみ」が容易に連想できるので、はさみのアイコンを作ればいい。しかし、何かを切る時にはさみを使わなくなる未来がないとは言えない。そんなような状態になってしまっているのが、「保存」アイコンである。
保存アイコンには永らく「フロッピーディスク」が描かれていた。
しかし、現在においてフロッピーディスクが使われている例はあまりに少ない。これが何なのかわからない若者も多く存在するだろう。手のひらサイズの樹脂製の板(中に磁気ディスクが入っている)にデータを記録できるのだ。容量は1.44メガバイトである。ちょっとした画像はもうここには入らない。
フロッピーディスクの認知度の低下によって、保存アイコンに「パソコン本体」が描かれている例も見受けられる。こんな感じだ。
しかし、このアイコンも昨今では安心できないように思う。スマートフォンの普及により、パソコンの保有率は減少している。
また、パソコンといってもデスクトップ型ではなく、ノート型を想像する人も多いだろう。
といった現状、「保存」アイコンはいずれこうなるのかもしれない。
保存アイコンにデスクトップパソコンが描かれている時点で既におかしかったのではあるが、そこにノートパソコンが使われるとなると、「パソコンの中にパソコンが入っている」感が強まってしまう。マトリョーシカか。
「保存」のように「見えないもの」を画像化することはとても難しい。空気を絵にしろと言われているようなものだ。だがここには、ものすごい発見が生まれる土壌があるように思う。なんとそれをそう表現してみせるのか!しかしなるほどそのとおりだ!と人類を驚かせるような素晴らしいアイコンができるかもしれない。デザイナーの方に頑張ってもらいたい(他人任せ)。
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