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岐阜視察記録③

飛騨市とヒダクマの取り組みをまとめた② に続いて、今回が最終回。

岐阜県銘木協同組合 、 小林三之助商店
 (※売上高等の数字は許可を取っていないので控えます)
 「銘木」とは、希少価値の高い木材のこと。珍しい杢(木目)が入ったケヤキやトチなどの広葉樹や屋久杉のような希少価値の高いものを指す。私のいる地域だと、(一般的な銘木とまで言ってよいかは微妙だが、)天然のアカマツの樹齢200年300年といったものがたまに出てくる。
 そんな価値の高い木材ばかり扱うのが岐阜県銘木協同組合だ。全国で3本の指に入る銘木の市場だという。
 到着してびっくり。トップに置いた画像のように、人の身長よりも直径が太い丸太が並ぶ。「これだけのものは外材(輸入材)だろうな」と近づいて二度びっくり。なんと国産だという。いったいどんな場所に立っていたのだろうか……。

 銘木協同組合では毎月中旬に市場(競り)を開いているとのことで、うかがった日はその直前でたくさんの木材が並んでいた。丸太だけかと思えば、製品(板)のほか磨き丸太なども。
 もともとはケヤキが中心だったとあって品ぞろえが良いが、岩手同様、ケヤキはここ数十年は低迷しているそうだ。

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 室内にはこのように耳付き(両端の丸太の皮がついた状態)の板が並ぶ。天板やカウンターなどにしたら存在感があるだろう。
 丸太は全国から集まってきていて岩手のものも。逆に客(購入する側)も岐阜を中心に全国から集まるそう。広葉樹資源が豊富な岩手にも県森林組合連合会の広葉樹市場があるが、銘木と呼ばれる木材を求める人は全国からここに集まり、そこを目がけて木材も集まってくる。とはいえ、そもそもは、ここ岐阜に木材を使う人(加工する人)の集積があるからだろう。

 続いては、岩手にも工場のある小林三之助商店へ。枕木部門もある会社だけあって全国からクリが集まる。ここもケヤキが売上の中で高い割合を占めるというが、やはり近年国内の価格は下落傾向。一方で中国からの引き合いは強いとのこと。
 こちらも毎月中旬に市場を開いている。木工団地の中にあり他にも市場が立つ。ここでも集積の強みを感じる。

●まとめ 
 初日は小径木の活用、2日目は銘木と呼ばれる大径材を扱うビジネスを視察した。後者は、これからの日本ではますます富裕層や輸出向けに限定されていくだろう。
 私たち庶民が家具を購入する機会に「国産の木を使った木を買おう」という傾向が強くなっていくかは未知数ではあるけれど、(少しずつでも)エシカル消費が注目されるようになってきた近年、買う時に木材の産地を気に掛ける人は増えてくると思う。
 そういう層にむけては、おそらく国産の針葉樹(スギ、ヒノキ)は植えたら間伐が必要でそのためには間伐材も積極的に使ったほうがよいということは知られてきたと思う。一方で広葉樹となると、どちらかと言うと「雑木林を切るのは悪」というイメージを持っている人も多いのではないかと思う。
 広葉樹の施業については私もまだ勉強不足なので、そのあたりを自分できちんと理解するところから始めて、広葉樹を使うことの意味をきちんと言語化したい。

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