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【1989年100日旅】29日目。モスクワ

29日目。夜は父の知人のグルジア人と夕食。モスクワで治安の悪さを感じることはなかったけれど、グルジア、アゼルバイジャン、アルメニア等のソ連の南側では独立運動が盛んで衝突もあったらしい。母の顔立ちはそれらの国の人のように見えるので、気をつけるようにと忠告された。

このグルジア人男性はマルクス研究が専門の教授で、人に何かを与えるのが好きな人だった。うちの晩御飯を食べに来るときには、母に花を持ってきてくれたり、翌日には食事をご馳走してくれたり。家族内では「グルジアのおじさん」と呼んで親しみ、帰国後も交流があった。

グルジアのおじさんは、1991年にソ連が崩壊したのち、マルクス研究の需要がなくなって職を失った。映画『グッバイ、レーニン!』では東西ドイツ統合後、宇宙飛行士がタクシードライバーになるエピソードが出てくるが、グルジアのおじさんも、タクシードライバーになった。激動の時代だった。

そんな感じの29日目。旅は残り71日。

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