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【1989年100日旅】14日目。モスクワ

1989年4月19日。旅は14日目。父が住むモスクワ大学の寮には一部屋に二人分の個室があり、父はドイツ人の先生と住んでいた。先生の部屋では枕を含め全てのものがビシッと揃えられ、平行と直角に置かれていた。完璧に、平行と直角。片付いている、どころではなかった。でもお人柄はにこやかで、ケストナー作品を読むとき、先生をよく思い出した。

当時、モスクワ大学の寮には何人か日本人が住んでいて、たくさんのかたに家族丸ごとお世話になった。お一人はドストエフスキー研究で有名な先生。この日はその方のお部屋におじゃました。

先生はペプシコーラをごちそうしてくれた。コカコーラはソ連にはないのだと教えてくれたのはその方だった。ペプシコーラもその辺のお店で簡単に手に入るわけではなかった。優しい先生だったから調子に乗って、何度もコーラを飲みに行った記憶がある。図々しかった。

そんな感じの14日目。旅はあと86日。

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