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【1989年100日旅】75日目。東ベルリン

1989年6月19日は旅の75日目。博物館でユダヤ人ホロコーストの展示をみる。人毛でできた毛布、皮膚で作られたランプシェード、実験で握り拳ほどに縮められた男性の頭部……。(レプリカだったと信じたい。)こういったことが行われた事実に衝撃を受ける。気分が悪くなり、日記にもろくに書けなかった。

『アンネの日記』を読んでいたから、ユダヤ人迫害のことは知っていた。しかし、それがステキな品物にはならないとわかるものを、あえて作った当時の人々の心理を想像すると、単なる迫害ではないと思った。妙な具合におもしろがっていたのではないか。人間の闇を見た気がした。

東ベルリンの物価は安く、博物館の後はアイスクリームを買ってもらった。でも気分は晴れない。銃痕が残る街並みを見て、ユダヤ人だけでなく多くの人が傷ついたのだろうと感じた。戦争は普通の感覚が普通ではなくなり、人が人ではない何かになってしまうのだと思った。

そんな感じの75日目。旅は残り25日。

トップ写真は2005年に作られた、虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑。

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