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【1989年100日旅】12日目。モスクワ

1989年4月17日。旅は12日目。学校へ。クラスメートがこれまでに行った国々の話をしてくれた。6年生で行く修学旅行など、学校行事もソ連国内ではなく、ヨーロッパに出かけると聞いた。またモスクワ日本人学校には高等部がないので、親の任期が続く場合は、多くは英語圏の学校に進学するらしかった。「世界が小さくなったみたい」と日記に書いている。

この日は妹の誕生日で、両親がケーキをどこかで入手してきた。白くてきれいなケーキだったのだけれど、食べてみたら周りは生クリームではなく固いメレンゲだった。びっくりした。ソ連のお菓子類はとことん甘く、硬いものしかなくて、風味も違和感がありありだった。生クリームが恋しかった。でも次第に慣れた。

ソ連のスイーツで好きだったのはポリョト(полет) 。パイ生地にピーナッツ・クリームとバター・クリームを挟みこんだ、クリーミーでとんでもなく高カロリーなケーキ。父の知り合いが買ってきてくれたこのケーキは、パイ生地にパリパリする部分と、クリームによって少し柔らかくなった部分があって、夢見るおいしさだった。ポリョトは飛行という意味。おいしさのあまり、飛んでしまうのだ、きっと。

2018年秋にモンペリエに引っ越してきて、知人のロシア人からお菓子をもらったら、ソ連時代によく食べたキャンディーバー「ロットフロント」だった。まだあるのね。記憶の中の味よりもだいぶ甘さ控えめになっていたような気がした。

こんな感じの12日目。旅は残り88日。

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