さやか星小学校の自然
さやか星小学校 教務主任・第1学年担任 島岡次郎
ぴょん太
「はあはあ、どうだ、撒いたか?」
ぴょん子
「ダメよ!すぐ近くに迫っているわ!!」
ぴょん平
「こうなったら、ダメで元々、戦うでやんす!」
ぴょん爺
「何を言ってるんじゃ!体の大きさが違う、とてもじゃないが勝負にならんぞい。」
ぴょん婆
「そのとおりですよ。勇敢と無謀は違います。今は逃げることだけ考えなさい。」
ぴょん蔵
「よし、それじゃあ、俺が囮になるから、その間にみんなは逃げるんだ。」
ぴょん太
「何を言ってるんだ、ぴょん蔵!そんなこと出来るわけないだろう!」
ぴょん蔵
「ばっきゃろい!お前には、夢があるんだろ?あの大きな田んぼの主になるという夢が!それに、ぴょん子を幸せにするんだろ?」
ぴょん子
「ぴょん蔵さん・・・。」
ぴょん蔵
「もう迷っている暇はない!俺が飛び出すから、絶対にその隙に逃げるんだぞ!いいな!!」
ぴょん太
「くっ・・すまない、ぴょん蔵。だが、お前も絶対に生き延びてくれよ!!」
ぴょん蔵
「へっ!伊達に『信州一の筋肉蛙』の異名を持っているわけではないぜ。そう簡単に、くたばってたまるか!よし、いくぞ!!今だぴょん太、いっけええええええええ!!」
ぴょん太
「ありがとう、ぴょん蔵!明日に向かって蛙跳びだ!うおおおおおおおおお!」
しかし、はるか上空から降りてきた巨木のように太い何かが、ぴょん太をパクッと捕まえた。
A男君 「せんせ〜、蛙捕まえたよ〜。」
B子さん「え?どこどこ?あ、本当だ〜。」
C男君 「僕も捕まえたよ。青いのと、茶色いの、合わせて2匹。」
冒頭の文章は、「子どもたちに追いかけられる蛙たちは、こんな感じの会話をしているのではないか」という私の妄想でした。さて、低学年の生活科では、「いきものと ともだち」という単元を学習しています。自然界に生きる虫や爬虫類など、小さな動物たちをちょっとだけ教室にご招待し、その生態を観察させていただこうという学習です。もちろん、学習が終わったら校庭に帰しますし、教室にいる間は3食昼寝付きです。しかし、いきなり見つけた生き物を連れてくるわけにもいかないので、まずは校庭にどんな生き物がいるのかを、iPadで写真を撮りながら調べる学習を行いました。
さやか星小学校のある信州佐久市は、実に自然豊かな場所です。周りには田んぼが広がり、校庭からは悠然たる八ヶ岳を望むことができます。山にかかる雲は、生き物のように形を変え、高さを変え、濃さを変え、その日の空模様を描きます。空、信州の空。遮るもののない空のなんと広いことか。その空を、大きなオニヤンマや赤トンボが自由自在に飛び回り、草むらではバッタやコオロギが草から草へ跳ねていきます。それらを狙うカマキリは、周りの植物に擬態して静かに狩の時を待ちます。夏の間、夜中聞こえた蛙の鳴き声。短い時間で命を輝かせる蝉の鳴き声。その声の主たちも、まだまだ沢山校庭に住んでいます。意味のない、喧しいだけの議論のとこを蛙鳴蝉噪などと言いますが、私は彼らの鳴き声が大好きです。そして最近は、秋を告げる鈴虫たちの合奏が、早朝の校庭に響くようになりました。
植物や虫、小さな生き物に関する学習をする際には、さやか星小学校の自然環境の強みを強烈に感じます。以前、この単元を都心の学校で行った際には、ダンゴムシとアリしか見つかりませんでした。仕方なくアリを大量に捕まえて教室で飼育していたところ、「プリズンブレイク」ばりの大脱走が発生し、教室がアリだらけになったという苦い思い出があります。自然が豊かだということは、それ自体がものすごく素晴らしい学習環境なのです。それは、どれほど便利で綺麗な最新設備よりも価値があるかもしれません。生き物への興味と関心に満ちた笑顔で校庭を走り回る子どもたちを見るたびに、私はそう感じるのです。
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