ものの輪郭を感じることが好き

とても好きなアーティストがいる。宮永愛子さんと、名和晃平さん。この2人に共通していると感じるのは、"変化" と "輪郭" に焦点をあてた彫刻作品をつくっているところ。


宮永愛子さんは、「芸術と科学のあいだ (著・福岡伸一)」を読んで知った。


作品の大きなはテーマ「変化」。ナフタリンという物質を使って、"変化しながら在り続ける" ことを表現している。

(※ナフタリンは、防虫剤によく使われている。タンスに入れるタイプの、袋がいつの間にか空になっているあれだ。固体から液体にならず、固体から気体に直接変化する。)

ナフタリンで作られた時計や鍵、イスなどのモチーフは、ガラスケースの中で時間とともに変化し、もともとの輪郭はなくなる。輪郭はなくなるけど、結晶化してガラスケースに貼りついている。消滅するのではなく、別の形として存在はしている…というもの。


名和晃平さんとの出会いは、偶然美術館で見た『BEADS』シリーズだ。

ネットオークションで収集したモチーフにガラスやアクリルの透明の球(ビーズ)を貼り付けてつくる。表面の質感、輪郭がビーズに置き換わって、本当の質感を感じることができない。見る角度によって像もゆらぐ。

特に印象的なのは、 鹿のはく製にビーズが貼り付けられたもの。約10年前、二十歳そこそこで金沢21世紀美術館で出会ったときは、"ガラスで作られた鹿"だと思っていた。その美しさと、ゆらぐ輪郭に心惹かれた。


2人の作品を見て、単純に美しさに惹かれたことに加えて、"心が動く瞬間"を感じた。

無理やりことばにするならば「ものごとの輪郭と、質感の変化」に興味があるんだとおもう。別のものにふちどられることで曖昧さが出たり、まったく別のものになったりする。単一的ではない、常に変化をしていることにおもしろさを感じる。


輪郭と質の変化に対する興味は昔からだったのかかもしれないと感じる出来事。先週、WOWOWで「ドラえもん のび太と雲の王国」を見た。

タイトルに覚えがなかったので初見かとおもって見始めたら、ものすごく覚えているシーンがいくつかあった。


■映画序盤のストーリー。
天国の存在を信じていたのび太は学校でバカにされてしまう。そこでドラえもんは「じゃあ自分たちで天国 (理想の王国)を作ろう!」と提案する。


鮮明に覚えていたのは、雲を変化させて王国作りをしていくところだった。昔みた映像まで鮮明に思い出せるほど。

・「雲がためガス」 で雲をかためて、「雲ローラー」で平らにならす
・「浮き水ガス」を吹き付けると、雲が水になり川ができる
・「自動万能工事マシン」に設計図を入れると、レンガのように四角く固められた雲がどんどん出てくる

まさに、輪郭の変化・質の変化を感じられるシーンばかりだった。


こどもの頃に持っていた "センス・オブ・ワンダー =  神秘さや不思議さに目をみはる感性” はどんなものだったのか。すこし前に考えたときは、ぜんぜんわからなかった。けど、少しわかった気がする。

むかしの興味といまの興味のつながり。こんな発見はとても楽しい。もっとじぶんの "好き" を理解して、ことばにしていきたい。

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