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夏のひとり旅大冒険記〜南フランス・イタリア編〜

前回の続き。

山の上のエアビーでウクライナ料理

南フランスに戻ったあと、私はひとりニースに向かった。天気もすっかり良くなっていて、エズ村というかわいい村があるよと友人に教えてもらったので行くことにした。

部屋から見える景色につられて山の上にあるエアビーを予約していた私は、夜空港についてから車でしかそこにたどり着く方法がないことを知り、とんでもなく不便なところに2泊することになった。

しかも空港付近のレストランはもうどこも空いてない。日本みたいに24時間のコンビニもどこにもない。しまった今夜は夕飯抜きか、とプチ断食を覚悟しかけたところに、ポツンと明かりがついているレストランを見つけた。すぐにgoogleで調べたらJapanese Restaurantと書いてあるではないか…!

閉店ギリギリで駆け込みgoogle mapの写真を見せて、このお弁当ください!!と言うと、困惑した様子の店員さんが「うちはウクライナ料理屋なのでそのお弁当はないのよ」と言う。でも店の前に日本食って書いてあるよと訴えてみたが、どうやら日曜日だけウクライナ料理屋さんに予告なく変身するらしい。このへんは日曜店を閉めるレストランが多いので、うちは日曜日だけここを借りてウクライナ料理を出しているのよ、とお姉さんが説明してくれた。

なるほどでは今夜は初めてのウクライナ料理だ、と完全に日本食の舌になっていた5分前までの自分の記憶を消して、一番オススメのやつくださいと注文した。そしたら、どう考えても一人で食べきれない大量のピンク色したポテトサラダ(なんと無料で)と大量のお肉煮込み料理をくれた。

ずっしりと重いその大量のお料理を持ってウーバーを呼んだ。そしたらピカピカのテスラがやってきた。どうやって扉を開けるかわからずにオタオタしてたら陽気な運転手さんが笑いながらあけてくれた。「君この住所合ってる?これ山の上なんだよこんなところに泊まる人初めてみたんだが」と私に何度もきいてくる。そうだ合ってるからとにかく行ってくれ、と説得し、やっと車が走り出した。

ニースのウーバーはテスラとか普通にあるの?ってきいたらまあ最近増えてきてるねって言ってた

私は三半規管が超絶弱く、山道を車でくねくね走ると余裕で車酔いをするんだが、この日もすぐに完全に酔った。そんな中、陽気な運転手さんが「君日本人でしょう?僕いつか日本に行ってみたいんだよね!」と日本への愛を語りだす。どうやらアニメが好きらしい。この旅中、会う人会う人日本人だと言うとすごくいい反応をくれる。日本人って本当に礼儀正しいしきれい好きだし大好き!ってかんじのリアクションが多い。私もそう思う。

車酔いと闘いながら彼と雑談して25分、ようやく山の上の例のエアビーに到着した。「こんな山の上に連れてきてごめんな。日本に必ず行ってくれ!」と彼にお礼を言い、車を降りた。

山の上に連れてこられたのにご機嫌で帰るめっちゃいいおにいちゃん

エアビーのオーナーさんにも夜にごめんなさいと平謝りしながら鍵をもらって、オーナーさんの家を横切り別棟?みたいになっている部屋に入る。なかなかいい。

一人部屋はもはや贅沢品になってきた(ただ山の上なのですごい安かった(でもウーバー代で相殺された))

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった最高

せっかくの一人部屋なのでこの日は大量のウクライナ料理でひとりパーティーをすることに。ずっと見たかったドラマを見ることにした。

最近NHKでやっているこのドラマ、私の友人で天才作家の、noteでもお馴染み岸田奈美ちゃんの家族をモデルにしたもので、海外からどうやって見れるんや!!とごねてたら、本人が仕方ねえなと特別に動画を送ってくれて見れることになった(海外でもNHKのこれ使えば見れるっぽい!)。

2話まで一気見。ニースの山の上で、ひとり号泣しまくる夜。

ティッシュ置いてあってよかった(海外のホテルはティッシュすら無いことが多い)

このドラマ、めっちゃ笑うしめっちゃ泣く。お父さんの突然死、ダウン症の弟くん、車椅子のお母さんという奈美ちゃんのご家族の物語。奈美ちゃんのすごいところは、どんなことも笑いに変えて、それでもちゃんと伝えたいことをしっかり伝える力。登場人物それぞれの魅力を鮮やかに読者に伝えてくれる奈美ちゃんの文章が、そのまま映像になっていた。ドラマの制作チームの皆さんのセンスが光る演出も、素晴らしかった。ぜひみんなにも見て欲しい。

ホームシックなエズ村

泣きつかれて寝落ちした翌朝、その超絶不便な立地が完全に報われる瞬間を迎える。

もうエズ村行かずにここにいようかなとまじで悩んだ

すごく静かで(山の上なんで)誰にも邪魔されないこの信じられないくらいゆったり流れる時間を満喫しながら、オンライン英会話Camblyのレッスンを受ける(旅中もなるべくやってる)。

さて、いざエズ村へ。また山を降りて電車に乗る。意外に遠いな…とgooglemapを片手に、まあ時間あるしゆっくりいけばいいかと電車に揺られて約2時間が経過。電車からバスに乗り換えろと言われたので待っているが、待てども待てどもバスは来ない。もう1回調べ直すと、なぜだか来た道を戻れと指示されキレそうになる。どうやら突然そのバスが運行中止になった様子。

こういう急な変更でこんなにイラついてるのはおそらく、突然の変更を許さない規律が整いまくっていて便利すぎる日本社会で育った私くらい。ヨーロッパの人々はこんなこと日常茶飯事なので屁でもないんだろう。

しかし私はやっぱり日本人なのでイライラしながら、結局倍くらいの時間をかけてようやく到着したエズ村。ねえ、綺麗すぎてなんで私ここに一人で来たんだっけ?と謎すぎる状況に陥った。


着くのが遅すぎてもう店全部閉まってたけどかわいい町並み

このとき、この旅初めてホームシックになった。なにしにこんな綺麗な景色をはるばる一人で見に来たんや…となんだか無性に、寂しくなった。

周りはカップルや家族で溢れている

腹が減ったのでエズ村にあるレストランに入る。お店のお兄さんに「君ひとりなの?」ときかれ、そうだよと答える。たぶんなんの気もないんだろうが、ますます寂しくなる。

誰かに無性に話したい気持ちになり、お兄さんに話しかけまくるが忙しそうだったので大人しくサラダを食べて店を出る。やることもないのできれいな景色を背景にYouTubeでも撮るかと、ひとりでカメラに向かって喋りまくって満足し、帰路についた。

カランクピクニック

翌朝、友人にカランクというきれいな入江に連れて行ってもらうことになり、長距離バスでプロヴァンスに戻った。1時間くらいハイキングするからねと事前に言われていたのだが、思っていたより20倍くらいきついハイキングだった。舐めてた。

終始おしゃべりしながらこの険しいハイキングを行く我々(めっちゃ綺麗)

ついに到着したその入江は、息を飲むほどの透き通った綺麗な水と、どんなプライベートビーチにも負けないスペシャル感と、おしゃれなカップルたち…!

水が冷たすぎて入ってる人少な

友人が持ってきてくれた世界一美味しいと言われているパンと(ほんとに美味かった)さすがフランス、普通のスーパーで売ってるくせにすっごい美味しいチーズとハム、そして私これ一番お気に入りだったんだけど、スシソンと呼ばれる熟成肉にかぶりつく。


厳密にいうと私の妹の親友のかの。芸人みたいにおもろい。

妹の親友のかのは妹と話し方がそっくりで、妹と話してる気分になる。私の家族のことをよく知っている一人でもあるので、終始私の家族の話で盛り上がる。スーパー聞き上手な彼女が「さやちゃんはこれからどんなことがやりたいの?」「こういうときはどういう気持ち?」みたいにいろいろきいてくれるので、説明しながら自分の頭の中にあった考えを言語化する。このプロセスがとてもありがたくて、モヤの中の景色に少しずつ輪郭が見えてくる感じ。家族のこと、留学のこと、仕事のこと、未来のこと。彼女のおかげで、普段考えないところまで隅々おさらいしながらアップデートできた気がする時間。

ミラノで夢を語る

そんな彼女が、さやちゃんに会わせたい友人がいる!と言って、イタリアで医学部生をしているまさに会いに、ふたりでイタリアのミラノへ向かう。

「私が知っている人の中で最も陽のオーラを放ちまくっている人」と、かのが紹介してくれたまさは、たしかにいいやつオーラが溢れまくっていた。アフリカで医者になりたい、子どもたちの命を守るために予防医学をアフリカで広めたい、と夢を語る彼は、ちょうどテスト期間中で朝から夜まで図書館で勉強していた(そんなときに本当ごめん)。夜、川の字になって天井を見ながら、あれこれと過去のことや未来のことを語り合った。こうして同世代(ごめんまあまあ年下だけどレンジでかめで)で自分の軸を持ってひたむきに頑張っている人に出会うと、背筋が伸びる。

かのとイタリアのリゾート地コモ湖に行ったり世界一うまいピザを食べたりと最高な休日を過ごす
本当にいい子たちで心が洗われた(イタリアで毎晩アジア料理を食べる我々)



彼のルームメイトのニーナが、ミラノの街を案内してくれることに。彼女も日本のアニメが大好きで、もはや自分の家にアトリエを持ってアニメのキャラクターの超ハイクオリティコスチュームを作っている。彼女もまた目標を持っていて、今はまだ生計を立てるために他の仕事もしているが、いつかは大好きなものづくりだけで生きていけるようになりたい、と話してくれた。彼女の作るコスチューム本当にすごくて、ファンも多いとのこと。こういう才能あふれる子がその才能を活かしてやりたいことを思いっきりできれば、まじで世界が変わるよね。人の「スキ」は、何より強く、社会を動かす。

ニーナとおしゃべりしながらミラノ観光

ミラノに行くまえ、ミラノでも人に会いまくりたいので誰かいませんかー?とツイートしたところ、心優しいフォロワーさんがミラノ在住の日本人の方を紹介してくれた。

海外在住日本人女性を覚醒させ起業させまくっている祝子さん

彼女の周りにはパワフルな女性がたくさん。急遽翌日も、祝子さんのコーチングを受けた女性起業家さんたちが集まってくださってお茶することに。そして話題は自然に、子育てのお悩み話に。どこに住んでいても、どんなご家庭も、やっぱりいちばんのお悩みは子育てなんだなあ。

「さやかさんはいつかここで子育てしたい!とかあるんですか?」とよく聞かれる。まだそこまで詳しく考えてるわけじゃないけど、その子の個性に合わせて柔軟に環境を変えられるようには力をつけておきたい、とは思う。こうして旅して回って、色んな人に会って話して、見たり聞いたりしていると、改めて環境の威力のデカさを思い知らされる。その時々で自分と家族に合った環境を選べるようになる!というのは、私の目標の一つでもある。

相変わらず人に会いまくっている旅。みなさんのおかげで、実りある時間を過ごせています。

イタリア最終日かのとまさが見送ってくれて、この旅初めてのちょっと寂しい別れをここで経験する。あと何度これ経験しないといけないんだろう辛い。

さて、次回はスイス編。

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夏の思い出

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