電子小説は何本売れれば成功なのか？DLsite販売数に見る中央値と５０本１００本の壁、イラスト経費の黒字基準

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官能小説家の小夜夏ロニ子です。

DLsiteで小説の電子版を販売する場合、何本くらい売れれば成功なのかを測る指標が欲しかったので調べたり考えたりしました。

中央値

DLsiteの「ノベル」ジャンルの作品数は8400作品です。（2022/12/19現在）
これらの作品のうち、販売数のトップはCG集を除くと3604本です。

この数字を見ても、自分が小説を売る時に「3600本売れるだろう」と考える方はまずいません。
では何本くらい売れると思いますか？
1000本？　500本？

「普通はどのくらいなんだろう」

という視点において使える指標は、「平均」と「中央値」です。

この場合平均はあてになりません。なぜなら、一部のトップ層が数字を押し上げてしまい、実際は数本しか売れてない作品も大量にある、という事実が埋もれてしまうからです。

そこでよりリアルな値として参考になるのが「中央値」です。

中央値
すべての値を大きい順に並べたときに、真ん中に来る値

つまり8400作品のうち、真ん中に来る4200番目の作品の販売数が中央値となります。

4200番目の作品の販売数は、23本です。
つまり中央値は23本となり、「普通これくらい売れている」の指標は「23本」と言えます。

この数字を見て思うのは、とにかく少ないということです。

ビジネスとして考えたときに、「この商品はよほど大きな失敗をしなければ23本くらいは売れそうだ」という目で見ることになりますが、どう考えても少ないです。
同人小説で食べていくなんて夢のまた夢としか思えない、夢のない数字です。

同人小説で食っていくことは可能なのか？

そもそもトップで3600本ということは、1本550円で売っても手数料が引かれて250円しか入ってこないので、90万円しか入ってきません。
源泉徴収で10.21%引かれるので、実際に受け取れるのは80万円です。

もちろん単価880円とか1000円超えにすればもっと利益が出ますが、同人小説で一番売れている人でも何千万円も儲かるような世界ではないのが現実です。

中央値23本なので、550円で発売した小説が23本売れるだろうと考えると、見込み利益は5750円です。

「小説を販売したらいくらくらい儲かるのかな」

と想像したときに、「5000円くらいだろう」と見積もるべきということです。なんて儲からない世界なんだ……。

50本、100本の壁

儲からないのはともかくとして、では何本くらい売れれば成功なのでしょうか。

何作も出している体感として、「100本売れれば大成功」という感覚がありました。では実際のところ、100本行っている作品がどのくらいあるのか。少し下げて50本行っている作品はどのくらいあるのか。調べました。

100本達成してるのは1953作品。（上位23%）
50本達成してるのは2944作品。（上位35%）

つまり100本以上売れたら上位28%に入っているということなので、大成功と言ってもいいぐらいでしょう。

50本売れたとしても、上位35％に入っています。結構売れていると思っていいのではないでしょうか。

ちなみに1000本売れると上位1.6%に入れます。壁高……。

イラスト経費にいくらまで使っていいのか？

小説に表紙や挿絵を依頼してつけることがあると思いますが、利益を出すためには売上が経費を上回らなければいけません。

そこで価格と販売数の指標から、いくらまでイラストに使っていいのかをいくつか例として計算してみました。
販売価格は110円〜1210円で、それぞれ中央値・成功（50本）・大成功（100本）で計算しています。

以下の売上を超えない範囲でイラストを頼めば利益が見込めます。

表紙のタイトルロゴ代もかかってくると思うので、イラスト代＋ロゴ代がこれを超えないようにすると利益が出やすいです（大成功しても売れるのは100本くらいだろう、という見積もりで計算すると）。

同人小説だけで食べていくのは簡単ではありませんが、経費や見込み売上を考える上で参考になればと思います。