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目と耳が二律背反でバグを起こした話。

 「名曲プレイバック」という歌番組をご存じだろうか。夕方18:00~19:00まで、BSで放送されている番組である。
 放送内容は名前の通りで、昭和の名曲がどんどん流れてくる。サブスクにあるようなプレイリスト「昭和の人気曲」をテレビで放送したような感じだ。
 「♪~いわゆる普通の音楽番組だわ」みたいな感じに思っていた。チャンネルを変えて映像を見るまでは。

 音楽番組の映像といえば、100人中99人が「歌っている歌手の映像」を想像するのではないだろうか。ツーと言えばカー。修二と言えば彰。
 
 チャンネルを合わせると、ピンクレディの「サウスポー」が流れてきた。特徴的で疾走感のあるイントロを楽しみながら、画面を見ると、夜桜の下に佇む幼女がテレビに映っていた。
 もう、テレビの音量を消音にすれば、夕方のNHKニュースの「あなたの街のほんわかニュース」って言われても分からないくらい、画面はかわいらしくてほんわかしてて、何より夜桜がめちゃくちゃ美しかった。
 そして、「きりきり舞いよ、きりきり舞いよ、魔球は魔球はハリケーン」のところで、トコトコっと女の子が走って行った。

 「歌手なんか、消しゴムマジックで消してやるのさ」ってどや顔をしたフワちゃんが頭の中で増殖していく。歌手は?ミラーボールの下でビッグバンドの演奏をバックにキラキラした衣装で歌うピンクレディーの姿はもちろん、野球に関係のある映像でもなかった。大好きな曲だからノリノリで聴いているのに、視界からは花の映像が入ってくる。

その後も私の動揺を気に留めることもなく、番組は続く。
「透明人間×地面から生えてるピンクの花が揺れる」
「カメレオンアーミー×椿」(これは椿の英語カメリアと掛けてる?とか深読みをしたけど違いそうだった。)
とにかく、映像と音楽の解離がくせになる1時間だった。

人は、全く関連がないものが組み合わさった予想外のものを目撃すると、そのアンバランスさが癖になってしまうのだと気付いた。(私だけかもしれないが)

目に見えるものが真実とは限らない。たとえ夜桜の美しい映像が流れていても、音量を上げればピンクレディかもしれないのだから。
 

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