ルールを知らないオーナメント ショートショート
しめ縄、羽子板、『脱赤字』と書かれた半紙は書き初めだろうか。クリスマスツリーのオーナメントととして飾られているそれらは店内で異様な雰囲気を纏っていた。
「時期も近いし、何より片付けなくて済むし、いいことずくめだろ」
「面倒くさがりが」
名案を肯定してもらおうとドヤ顔する店主を無視しコーヒーを注文する。
「お待たせ、ミルクと砂糖いるか?」
「子供扱いするな」僕はそのままコーヒーを飲む。少し苦いが、それがなんか通っぽい。
「じゃあこれは子供扱いになっちゃうか」店主は何かの包みをカウンターから出した。
「ちょっと遅れたけどクリスマスプレゼント」店主がニカっと笑う。ついさっきまでぐちぐち言ってたのが、少し恥ずかしくなった。
「なんかごめん」
「いいって、いいって」店主は照れ隠しをするように急かした。
中から出てきたのは、ハロウィンの飾り付けだった。
「何処に仕舞えばいいかわからなくなってな。丁度よかった」
「押し付けただけじゃねえか」そのツッコミは年末の店内に響いた。
お題 ルールを知らないオーナメント 424字
あとがき
じわっとシリーズだったりする子達。ずっと喧嘩してる。
たらはかにさんの企画に参加してます。
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