ルールを知らないオーナメント【毎週ショートショートnote】
オーナメントのスターは、人型のジンジャーマンクッキーの口がへの字になっているのを見逃さなかった。
「どうしたんですか?」
「実は、とあるトナカイにサンタになりたいなら一緒に来ませんかって誘われていて」
スターは驚いた。
「トナカイには乗れないから無理って断ったんだけど、やっぱり憧れるよな…」
クッキーは名残惜しそうに赤い帽子を被った。スターは名案を思いついたのかキラリと輝いた。
「それに乗るのは得意でしたよね?」
スターは赤く輝く球状のオーナメントをスターの先っちょで差した。
「僕、トナカイさんのところに行ってくる!」
クッキーは嬉しそうな笑顔で赤い球に乗って玄関の方へ消えていった。
あれからクッキーの姿を見かけていない。そろそろクリスマスが近づくというのに。杖の形をしたクッキーがスターに耳打ちした。
「実はさ、トナカイにしてはおかしいと思ったんだよな」
「そうなの?鼻が真っ赤だったとか?」
「いや。体が紫色で、足が割りばしだったんだよね」
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