生き写しバトル ショートショート
母と私はよく似ている。目の横にホクロがあることに、プリンが好きなことあと。それと、喧嘩で中々折れないところ。なので、この喧嘩は必然っちゃ必然だった。
「醤油とって」日曜なのに夜更かしをしてまだ眠いという自業自得な理由で、その日の私はいつもより、気が張っていた。
「何そのぶっきらぼうな言い方」ちなみにこの時の母はドラマを深夜まで見てしまい、やっぱり気が張っていた。
「自分で取ればいいんでしょ」遅れてきた反抗期というべきかなんなのか、とにかく戦いの火蓋は切り落とされた。
「別に普通に取るけどさ。頼み方ってのがあるんじゃないの?」
「いや、普通に頼んだじゃん。勝手にそっちが勘違いしたんでしょ」
その後も言い合ったり黙り込んだりしながら、朝の時間は過ぎていった。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
形式的にした挨拶が少しもの悲しかった。
学校帰り、少し迷ってコンビニでプリンを買って帰った。
「仲直りしよ。ちゃんと」母は少しだけ笑った後すぐに
「あーあ、子供に気使わせちゃったよ」と冗談っぽく話した。
その日の夕焼けは眩しくて、なんとなく忘れないような気がした。
お題 生き写しバトル (471字)
あとがき
💃文字数大越え祭り💃
私的にバトルは口喧嘩のイメージ。
たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただいています
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