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近江商人に見習う「三方よし」の旅のすすめ

皆さんは旅先でできる、地域の方々へのお返しは何があると思いますか?
昔の近江商人の心得として、「三方よし」という言葉がありました。
これは、商品を買う人、売る人、そして社会(地域)の三者に利益が出るような取引を行い、持続的な取引を可能にする、という考え方です。
この考え方に則れば、地域を訪問した人も、その地域になんらかの還元をしていく必要があります。
今回は、旅人ができる、地域の人への恩返しについてお話ししていきます。


【大前提】地域のおすそわけをいただいているということを忘れない

まず、大前提として、地域のおすそわけをいただいている、という気持ちを忘れないようにしましょう。

持続可能な関係を続けるためには、お互いに無理なく過ごすことができる距離感でいることが大切です。
その地域の方が作り上げた文化や、社会のシステムに間借りさせていただく立場であることを忘れないようにしましょう。

そのことを踏まえた上で、旅人が地域に対してできることを、次から上げていきます。

来訪者が地域のためにできること

地域の何気ない観光資源になりうる素材の価値を評価すること

意外に地域の方の方が、自身の地域のことを知らなかったり、正しく地域の資源の評価をしていない場合があります。

例えば、農業景観。
私が住む北海道は、広大な農業風景が広がり、季節ごとの田畑の風景をみることができます。
ただ、それも、地域の方から見れば「何もない、つまらない場所」ですが、食糧自給率ほぼ0%のシンガポールの方々からすれば、「食の裏側が見られる、またとない貴重な機会」。
逆に、寒い地域である北海道民からすれば、軒先に柿が実っている様子が、思わず写真に撮ってしまうほど珍しいものだったりもします。

旅人が求めるものは、地域の本物。
おもてなしをしたり、観光素材を整えるのは、ご案内するプロの役割。
地域の方には、観光客向けにわざわざ商品を作るのではなく、肩肘張らない、そのままをおすそわけしていただければ十分なのです。
そんなことを伝えられるのが、旅人だからこそできるのです。

地域の素敵なモノ・コトを外に広める

先ほどの内容と少し被りますが、地域の素敵なモノやコトを、外に広めることも旅人の役割。
「そんなこと?」と地域の人々が思うものでも、もしかすると見る人によっては大きな価値を持つものもあります。
外の人の目線で情報を発信していくことで、その価値を求めている人に届けることができるのです。

例えば、北海道の雪は、北海道民からすると生活に影響も及ぼすほど厄介な存在です。
ですが、北海道のパウダースノーは、温暖化が進んでいる世界の中では非常に貴重なものであり、わざわざ北海道の雪を目指して、世界中から人が来ます。
その際に彼らが撮影した写真や映像は、SNSや口コミを通じて海を越え、毎年何万人ものスキーヤー、スノーボーダーを呼び寄せるものになるのです。

このように、地域の何気ない風景や文化などを外に広げて、その価値を求める人に届けるのも旅人ができることの一つ。
自分が「良い」と思う感性も磨いていきましょう。

新しい視点を提供すること

地域に新しい視点を提供できるのも、旅人の大きな役割の一つ。
私たち旅人は、自身の住んでいる地域での知識や、様々な地域で体験してきた経験があります。
もしかすると、その中にはその地域にはない視点があるかもしれません。
地域で困りごとがあるようならば、その知恵を存分に活かしてみましょう。
ただし、求められていないのに、提供するのは、ただの侵略者であり、大きなお世話です。
そっとしておいてほしいこともあるので、それは地域の人ファーストを忘れずに。

おわりに

住んでよし、訪れてよしの地域にしていくためには、旅行者の協力も欠かせません。
さて、皆さんは地域からのおすそわけをいただいたら、何を返しますか?

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