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苦めコーヒー


ついこの間、東京まで行って息子には会ったばかりだけれど、この年末、帰省してくるのがやっぱり楽しみである。

関西の大学にいる時は正月だけでなく夏休みにも帰ってきたりしていたし、ここ岡山からは近いこともあってこちらから向こうに遊びに行くことも、年に一、二度あったのだけど、社会人になって東京に行って、距離が遠くなっただけでなく、ちょうどコロナもあったりして、直接会うことはずいぶん減った。

この十一月に行ったのは、息子が東京に暮らしてから初めてだった。せっかく行ったのに、二晩ともライブを観にいくからと、やっととれたチケットだからと、晩御飯すらゆっくり一緒に食べられなかった。

それでも下北沢からほど近い街の、狭いせっまいアパートに行ってみて、なんだかがんばってやってるな、というか自由にやってるな、とか、夕食作ったりするんだとか、髪が長いな、とか、色々感想を持った。

息子は末っ子で、ぼくも末っ子で、血液型も同じで、同性で。

ぼくの母親が生前、ぼくが岡山で結婚して、もう愛知県には戻るつもりがないのだということについて、寂しいけど地球の反対側ほどは遠くないから、みたいなことを会う度に言っていて、一緒に暮らしている時は全然伝わってこなかったけれど、そういう風に思ってるんだ、と意外だった。

岡山から東京は、その二倍くらい遠い。ちょっと往復するのも、財布が一苦労であるから、そう頻繁には行けないな、と思う。

先日の東京行きでは、行ってみたいコーヒー屋さんが吉祥寺にあるからと、ぼくの方からリクエストして、井の頭線に乗った。

小さなお店で、お客さんも多くて、外で短い時間待って、妻と息子は同じテーブルで、ぼくは一人カウンター席になった。コーヒーはコクがあっておいしかった。気温の上がった日だったから、二人はアイスコーヒーを注文していた。後で聞いたら、すっごくおいしかったって喜んでた。

そうかそうか、お店よかったな。息子もコーヒー好きだからな。

まだ家には半袋、いつもの倉敷のコーヒー豆屋さんで買ったのがある。

けれどちょっと息子が好みの苦めのブレンドを買っておこうかと、思い立って倉敷の商店街へ。

ぼく自身はいつも酸味寄りを好んで買うから、店長も不思議に思うかもしれないけど、そういう事情です、店長。

今日の夕方には家に着く予定。そんな時間に飲むとカフェインで寝られなくなるから、開封は明日以降になると思う。

頼り無げな、でも東京で二回も引っ越しをして、色々あって、実はもう子供でもなんでもない、でもぼくにとっては子供である。



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