春の音がする
不思議なもので、
春になると音の聞こえ方がそれまでと違ってくる
枚方にいた頃、二月だか三月だか、下宿の窓から聞こえてくる国道1号線バイパスを走る車の音が、春の湿り気と温度をふくんでいるのに気がついた
下宿とその道路との間には、家は少ないけれど少し距離があって、普段はそれほど気にならない音が、その時はそうやって部屋に入ってきた
ああ、春なんだな、と、そう感じさせた
今、電気を消して寝ようと布団に潜ったら、家からは同じくらい離れたところにある山陽本線の鉄橋を渡る貨物列車らしい長めの音が、春の音のように聞こえてきた
あの時と同じように
きのうは散歩道でレンゲが咲いているのをみつけた
今日はタヌキのカップルが草むらの茂みから顔をだして、ぼくと目を合わせたあと慌てて反対側の茂みに隠れてしまった
そんなきのう今日だった
今度こそ電気を消して、そんな音を遠くに聞きながら寝よう
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