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武田作品解説シリーズ3「恩恵と収穫」

3.恩恵と収穫(2014年)

 この作品については、すでに連続講義形式の解説が存在するのでそちらを参考にして頂ければと思う。「輪転」に次ぐ、全90編からなる長編詩として作られたこの作品は、私自身の言葉の割合が増えており、今からいうと8年ほど前の作品ではあるが、いまだに「代表作」のひとつだと思っている。
 とは言え、作品そのものの技術的な面だけを見てみると、韻律の破綻も多く、決して「上手い」詩とは言えないだろう。それでもここに流れている霊感まで否定することはできない。この詩は、詩というものは決して技術上の云々のみで語ることができない、ということを示している。
 と言うよりも、作った本人からこんなことを言うのはどうかとも思うのだが、「恩恵と収穫」の奥深さを語り切ることはできない。添付している解説においてももちろん作品の全てを語っているわけではなく、ともかく、この奥深さは、読者一人ひとりが個的な体験として味わうしかない。
「恩恵と収穫」は、明確な形での瞑想詩シリーズの始まりだと言える。この作品以降、私の詩は瞑想詩としての性質を色濃く持つようになってくる。だがそのなかでも、「恩恵と収穫」は重みがあり、私の作品全体のダイジェスト版、あるいは鋳型とも言えるかもしれない。

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