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やられても やりかえさない

売り言葉に買い言葉

仏教の言葉で怒りのことを「瞋恚(しんに)」といいます。お釈迦様は「瞋恚」の恐ろしさをたくさん説かれたそうです。

誰かに嫌なことを言われたら、つい言い返したくなるものです。しかし、そこで言い返してしまうと、言い返された相手がさらに言い返してきます。口論はエスカレートする一方です。売り言葉に買い言葉という言葉もありますね。

頭では誰もが分かっていることだけれど、いざその場になるとつい怒りに身を任せて、言わなくてもいいことまで口走ってしまう。あとになって後悔したという経験はどなたにもあると思います。もちろん私にだって何度もあります。

お釈迦様の解決法

このようなことに対する解決法を今から2500年も前にお釈迦様がシンプルな言葉で説いています。

「怨みを捨ててこそ息む。」

誰もが納得できる答えではないでしょうか。何かを言われて怒りが湧いてきても、言い返さないのが結局一番良いのです。

そうは言っても我慢ならない?

確かにそれはそうかもしれない。しかし、嫌なことを言われたままだと、相手が一方的に得をして、自分が一方的に損をしているような気持ちになるかもしれません。

ところが、実際はそうではありません。一方的に嫌なことを言った相手は、「徳」の反対である「悪業」を作ったことになります。他方のあなたは自分の心をコントロールし、相手との喧嘩を避けて、相手の怒りの増加を防いだことで「徳」を積んだことになります。

そして、因果応報で、悪業を作った相手には悪いことが、徳を積んだあなたには良いことが、いずれ必ず起きます。

相手と私の二人だけの小さな世界で物事を捉えるのではなく、お釈迦様の視点で、遥かなる高みから見れば、それぞれの行いに応じた結果が生じるというごく自然なことです。

心を磨こう

今後万一嫌なことを言われることがあったら、瞬時に、「徳を積むチャンスが降ってきたぞ!」とまで思えるようになれればしめたものです。そして、そのような心の修行を完成させることができたときには、そういう嫌なことを言われること自体がなくなっているかもしれません。

やられてもやりかえさない。嫌なことを言われても言い返さない。叩かれても叩き返さない。幼い子供にも教える当たり前のことを大人の私たちこそ実践していきたいものですね。


実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息(や)むことがない。怨みを捨ててこそ息む。これは永遠の真理である。
法句経(ダンマパダ)5

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