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DMMがMastercardを取り扱い終了することへの個人的見解

2022年7月20日、DMMがMastercardを決済方法から除外する旨を発表した。(以下4媒体によるニュース記事)

DMMがMastercardの取り扱いを突然終了へ いきなりの発表に利用者から困惑の声、もちろんFANZAも - ねとらぼ 

DMMがFANZAなどでマスターカードの取り扱い終了 担当者「諸条件が折り合わず」 - KAI-YOU.net

DMM.com、マスターカード決済を7月29日で終了 アダルトコンテンツへの圧力の可能性も:突然の通知でネット騒然 - ITmedia ビジネスオンライン

DMM、Mastercardでの決済を終了。カード変更を呼びかけ - Impress Watch

インターネットにある程度触れている方ならご存知だろうが、DMMはAVを始めとする成人向けコンテンツで有名だ。今は成人向けコンテンツを切り離しFANZAとしているが、利用するアカウントが同一であることから実際の運用は一体化されていると推測できる。

現在では成人向けコンテンツ以外にも手広く事業を展開しており、電子書籍やオンライン英会話、株取引やFX、一口馬主事業まで行っている。故に成人向けコンテンツ以外を目的としてDMMを利用している人も多いだろう。

そして今回の件は、成人向けコンテンツを扱うFANZAのみならずDMM全体が対象となっている(DMMモバイル等一部対象外もある模様)。

なんでもやってるDMM 篇 15秒 - YouTube

そしてその巨大インターネット企業であるDMMが、決済カードシステムでVISAに次ぐ世界2位のMastercardを取り扱い終了するというのはやはりインパクトがある。
Twitterで多く見られたのは、「Mastercardは国際ブランド各社の中でも特に親ポリコレで成人コンテンツに対して厳しく、DMMはMastercardを切ってでもコンテンツを守ろうとした」という見解だ。

アダルト産業を実質的に規制しているのは政府や国際条約ではなく「クレジットカード会社」だという指摘 - GIGAZINE

以前MastercardはVISAと共に世界最大のアダルトサイト「Pornhub」に圧力を掛け、その結果、ごく一部のお墨付きを除く多くの動画がBANされた。金の流れを握れば他社を圧迫することなど容易だと言わんばかりに。金銭授受の中間役でしかないのに「うちが気に入らないから、変えるまでは金動かさないわ」だ。

私の個人的な思いとしては、仮にアダルトコンテンツに対しての表現規制が取り扱い終了の理由だとしたらではあるが、以下の通りだ。

世界2位の決済プラットフォームが、当該国で適法とされる物品の購入を恣意的な基準のもとで妨げるのなら、それは最早国境を超え民間による表現の自由の侵害に当たるのではないか。ましてや成人が自らの意思で成人向けコンテンツを購入していることに何の問題があるのだろうか。

決済プラットフォーム各社の殆どが米国系であり、彼らの判断基準にはキリスト教的価値観が潜んでいると予想できる。決済システムを根本的な考え方の違う人々に依存させるのはリスクがあると分かったし、行動の内容はともかくとして中国政府が米ドルのオルタネイティブとして人民元国際決済システム(CIPS)を構築したい気持ちも少し理解できた気がする。


DMMの扱うコンテンツが理由で今回の結果に至ったのならば、ユーザーの需要に応えコンテンツを守ろうとしているDMM側に私は立ちたい。

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人民元国際決済システム(CIPS)について知りたい方には、中川コージ先生の『デジタル人民元 - 紅いチャイナのマネー覇権構想』をおすすめします。

Pornhubに対するVisaとMastercardの決済停止処分は「事実上の検閲」にあたるという指摘、決済停止によるセックスワーカーの困窮を懸念する声も - GIGAZINE

アダルト動画サイトPornhub、未認証ユーザーの投稿動画をすべて公開停止 児童虐待動画などが投稿されていると報道を受けて - ねとらぼ

Pornhub、新ポリシーの下で未承認ユーザーによるコンテンツをすべて削除 - ITmedia NEWS 



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