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かくかくしかじか(東村アキコ)

はじめに

元日に北陸を直撃した大地震で被災された皆さまにお見舞い申し上げると共に、安全と復興を願っております。私もささやかですが、ご支援させていただきます。

なぜ、この本

新年、そして最初のnoteでご紹介したいと思っていたのが東村アキコの「かくかくしかじか」

最初から漫画?と思われる方がいらっしゃるとは思いますが、仮に活字の小説であったとしても、きっと私は良い本と評価します。
漫画なのは作者が漫画家で絵がテーマだから。
純粋にノンフィクションとして素晴らしい物語だと思います。
この本を最初に選んだのは私の背中を何度も押してくれるからです。
この本が無かったら、きっとこのnoteも始めていませんでした。

どんな本

東村アキコの高校時代から漫画家として大成していくお話。
しかし、本当の主人公は作中で先生と呼ばれる絵の先生。
この先生が本当に人間味の溢れる魅力的な描かれ方をしています。
実際、ウェブで他の方の評価を拝見しても魅力的な方のようです。
この先生と東村アキコの2人で物語が展開していく全5巻の物語。

手に取ってまず気が付くのが装丁がちょっと変わっていること。
コミック単行本サイズではない、愛蔵版の大きめサイズ。
絵を描くことがテーマとなるため大判にしたのでしょうか。

仕事や勉強をしていれば、どなたもスランプ、不調に陥る時があると思います(ない方は…すごいですね…)。
私もそういう時があり、もしかしたら、今もスランプかもしれません。
そんな私に作中の東村アキコと被って映る時があります。
描かなきゃいけない、でも描けない、どうすれば…
そんなスランプに陥った東村アキコを叱咤する先生。
どう𠮟咤するかは本作にお任せしますが、これが私に突き刺さる。
何回も読んでいて、展開も分かるのに、問答無用で突き刺さってくる。
仕事で行き詰まりを感じたとき、立ち返る一冊です。

20~30代で行き詰った時は基本書(公認会計士の仕事上の教科書みたいなもの)や経営者の自伝を読むことが多かった。
そこで学んだ知識、技術が役に立ったことは数多いです。
しかしながら、40代に差し掛かり、知識、技術が太刀打ちできない事態も多くなってきました。
加えて経営企画というお仕事をしていると、感性やセンスが必要になる局面が出てきます。
これが圧倒的に足らなくて悔しい思いをすることが増えてきました。
その時、何が足りないか、何を学ぶべきかと考えるのは良いですが、同時に狡賢い私が出てきて無駄なことは忌避するようになる。
しかし、一見無駄なことを避けると、高次元の大切なものを失ってゆく。
高校・大学時代の東村アキコは、そんな私なのかもしれません。
大切なことは、分からなくても、反復していれば、必ずついてくる。
こうしてまた動き始める力が湧いてくるのです。

なお、本作1巻終盤から2巻はまさに金沢が舞台。
美しい雪国の情景は旅情も誘います。
気になる方はぜひ手に取ってみてください。
お正月、何もやる気が起きない時に特におすすめ。
動き始める力がきっと湧いてくると思いますよ。

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