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すずらんの風景印、旅するポストカード

そのポストカードを見つけたのは、連休明けの曇りと雨の火曜日、外出から帰宅した夕方のことだった。ポストカードはゆうパックの不在票と一緒に、郵便受けのなかで静かにわたしを待っていた。差出人に心当たりはある。

そっと取り出して目にしたとき、思わず、わぁと呟いた。すずらんのポストカードにすずらんの切手が貼られ、すずらんが描かれた〈鈴蘭郵便局〉の風景印が押されている!

さらに驚いたのは、消印の日付だった。令和6年5月1日。5月1日はフランスで「すずらんの日」と呼ばれ、お世話になっている人やパートナーなどにすずらんを贈る日とされている。

なんという風雅な組み合わせ。

北海道河東郡音更町の町花であるすずらんと
十勝川を泳ぐ白鳥が描かれた風景印
北海道で咲いたすずらんは
花束になって届けられ、花瓶に飾られた

「ポストカードには一度、北海道まで旅してもらいました」と、差出人は言った。

たしかにこれは、旅するポストカードだった。関東平野からはるばると北海道の十勝平野まで旅をして、風景印を押されて東京に帰ってきてくれた。

カードに添えられていたのは、下記のメッセージ。

The language of the lily of the valley is “Return of happiness”
May happiness come your way!

 すずらんの花言葉は幸運の再来
 あなたに幸せが訪れますように 

こんなポストカードをもらって幸運が訪れないわけがないし、ポストカードを受け取ったことだけでもう、気持ちがふわふわになった。

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風景印という存在は知っていたけれど、実物を目にしたのは初めてだった。風景印とのファーストコンタクトがとんでもなく印象的なものになったことは言うまでもない。

わたしも今度、風景印を押してみよう。絵葉書、切手、消印に関連性を持たせたカードは「マキシマムカード」と呼ばれるらしい。記念日にちなんだ組み合わせや、好物を集めた組み合わせを大切な人たちに送ってみたい。

早速、風景印の本を読んでみることにした。まずは風景印の世界を覗いてみようと思う。

ポストカードに旅をさせる日が楽しみになった。

おしまい。

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