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年跨ぎ短編小説投稿戦記

下記小説書いたから読んでみてくださいというお願いをするのにあたった、そういえばなんで投稿したんだろと思い返してみたらすげえ長くなったので、別に以下の文章は読まなくても良いけど、リンク先の小説は読んでみてくれると嬉しすぎて死んじゃう。

かも知れませんね。

以下、駄文。

時は2021年、今年も結局惰性で小説書いて、コミティアで発表してコミティアの面白い本をたくさん読めて、楽しい一年だったけど、何一つ得られない情けない一年を過ごしてしまったなあと、前回のコミティアが終わったあとボンヤリと考えていた。

その去年最後の11月のコミティアで出したのが「美女と金持ちと普通」と言う小説で、なんだかそれを書いていた時は楽しかったのに、終わったあとなんだかもうちょっとなんかできたのかなあと少しだけ後悔していた。
それは毎回本を作っては不出来に後悔してるんだが、なんだか久しぶりのコミティアで興奮してたのか、いつもよりは後悔が大きかった。

そんな時にアカウント作って数作品だけ投稿してから何もしてない小説投稿プラットフォームカクヨムからのメールで短編小説賞の募集をしている事を知ったので「美女と金持ちと普通」を供養する意味でこれを短編に落とし込んで投稿してみようと年末に向けてクソみたいに忙しくなりつつある中を、週一でフットサルをこなしつつ、小説の書き直し作業に取り掛かった。

「美女と金持ちと普通」という小説はA5サイズ16ページのコピー本で文字カウントすると大体1万8千字だったので、それを短編小説の募集要項の1万字に抑えるという作業を行始めた。

やるかと重い腰を上げたのがコミティア終わってから結局12月の上旬でこの時はクリスマス前には終わるだろうとぼんやりと考えていたのだが、歴史の教訓通りに「クリスマス前には終わる」と思った作業はクリスマス前には絶対終わらない、長くわないけどそれなりに地味に続く嫌な感じの鈍い痛みを伴う作業になるとはこの時は思わなかった。

まず、とにかく自分の書いた小説をもう一回読むというの苦痛だった。

「世の中面白い本がいっぱいあるのになんで自分の小説もう一回読まなきゃいけないんだ!」

この時点で幾人かの有識者の方だったら「その態度がそもそも駄目だろ!」っと足蹴にされるところだと思う。

けど私みたいに小説を惰性でイヤイヤ「なんとなくそれっぽい」モノを書いている人間には、生まれたモノをもう一度読み直す、対峙すると言うのは本当に苦痛で、その時点で小説を書く、コミティアに出るという世間一般の皆様が想像する「創作活動」に向いてないっと思うのだが、いまさら色々と遅い。

でもそこをグッと堪えて、別の形にしていくと言う作業は初めてだったので、去年何もできず、できたのは尿管結石の石だけだったので、ここは頑張ってやろうと思ったけどこれがなかなか手が動かずに、結局FIFA22でアーセナルにフィオレンティーナのFWヴラホヴィッチとバルサのMFペドロを入団させるのを目的にキャリアモードを再び初めてしまうなどの現実逃避に没頭してしまいました。

それでも我慢して、もう一度自分の書いた原稿と向きあって、読み進めながら無駄な部分を削ぎ落とそうとして文章をWord上で消していく作業を始めたのですがこれが辛かった。

結論からいうと1万8千文字中削った部分の殆どが「自分一番書いていて楽しかった部分」だったのが辛かった。

余計な蘊蓄披露や、話の本筋と関係ないディテール、1万8千字書いたものを半分に削っていくという作業は、本当に物語の贅肉を削っていく事であって、そういう部分にメスを入れながら「わぁ自分の文章めっちゃ誤字も多いし無駄ばっかりだ……」っと作業する前から薄々わかっていた事が読み返せば読み返すほど炙り出されて、本当に読んでて辛かった。

「さわださんまた太ったんですか?」

コロナ明けのコミティアで会うたびに誰かにそう言われた事を思い出しながら、そういう事か、そういう事なのか、そういう事だろうと自問自答しながらお菓子を食べコーヒーを飲みながらひたすらに自分の文章を削った。

文章は削れば削るほど物語の本質、自分が書こうと思った切っ掛けみたいな部分が出て来て、最初は格差と友情みたいなものがテーマだったなあと思っていたが、そんな事は放っておいて、お嬢様言葉って難しいなあ本当にこんな喋り方してる人いるの?とかどうでも良い事に興味が移りそういう事を捏ね回している事が楽しかった数週間前の自分の事が容易に想像できて、本当にお前好きなことしかやらねえなと40年も無駄に重ねた人生を呪った。

クリスマスが過ぎて元旦も過ぎた頃、文字数はまだ1万4千字ほどだった。

その日に見たのがプレミアリーグのアーセナル対マンチェスター・シティーの試合。

アーセナルは直近の試合がコロナで中止、シティーは連戦でアウェイ、これはもしかしてもしかするのでは?っと期待を胸に試合を観戦。

スタートから調子の良いアーセナルと動きが重いシティー、これは勝ち点1取れるのでは? 最強DFの冨安もコロナから復帰!? 相手はフィル・フォーデン、カイル・ウォーカー欠場!?

高まる期待通りにあっさりとアーセナルがブカヨ・サカの得点で先制。

マジか、マジなのか? と最高の前半戦を終える頃には自分の小説のことはすっかり忘れていて、祝杯の準備を、明けましておめでとうと、新しいアーセナルの躍動に新年幸先が良いなあとすっかり有頂天になった。

そして元キャプテンのグラニト・ジャカが軽率に、ペナルティエリアでユニフォームを掴んでベルナルド・シウバを倒してPKを与えて1対1のタイスコア。

まだ凹まない。

ここまでは「プラン通り」と虚勢が張れたが、その数分後バックパスのミスからマルティネッリがゴールを狙うも痛恨のシュートミス、そしてその後のゴールキックで抜け出したジェズスをマガリャインスが倒して2枚目のイエローで退場。

数的不利になりつつなんとかロスタイムまでチャンスも作りながら来たけど、最後は力尽きて失点、勝ち点1どころか久しぶりの敗北を味わうことになる。

「あーよく見るやつだこれ、アーセナルあるあるだ」

自分達のミスで破れるアーセナル、ここ数年何度も何度も見た光景、後一歩で相手じゃなく自分達から主導権を渡してしまう展開。
あのCL決勝でチェルシーに負けたシティー相手に大健闘といえども負けては得られるものは何もない。

若い選手も頑張ってるし、冨安は対面のスターリングに仕事をさせず、ピッチ上の選手は全員頑張ってた。
でも何も得られないまま試合終了のホイッスルと共にピッチに崩れ落ちるでフェンダー陣を見て本当に悔しかった。

今年は違うと生き込んだ最初の試合で見るいつもの光景。チーム全体が若く、まだ未完成で希望があるのが救いだが、それでもシティーを倒すという千載一遇のチャンスを逃した悔しさはピッチから伝わってきて辛かった。

でも最後まで緊張感を持って戦ってくれた選手の姿に悔しいけどここで歩みを止める事もできない、結局また準備して試合に挑む事でしかこの悔しさは払拭できないのだと、試合を壊した審判のせいにすることも出来るが、多分それは一番頑張った選手たちに失礼な気がした。

後日試合後のアーセナルDFベン・ホワイトの線審との握手を見て、それでええんじゃよと東京物語の笠智衆になって声を掛けたくなった。

試合を見た後DAZNを切って、原稿作業中のMacBookを見るとまだ4千字削らなくちゃいけない。

もうやだ、俺もアーセナルも報われて良いはずだと人間の認知能力の限界を越える同一化をし、その日は原稿から逃げた。

そして次の日も前日の敗戦ショックを引きずり、Twitterも見たくないので必死に自分の小説から文字を削る作業を続けたがまだ二千文字残っていた。

もう無理と思って、原稿から目を背けて「コブラ会 シーズン4」を見始めて、気がつけば一気見をしていた。

「なんだろうこのミゲル君のポジション……」

そんな中途半端な気持ちを抱えて、再び諦めて原稿に向き合う。

楽しくない。

この文章を削るという作業は楽しくない、心底そう思った。
増やすより削る作業は何倍も辛かった。

別に自分が決めた事だから止めればいいのに、それでもなんだかわからないけど焦りが、前に進むにはこれしかないのでは?っと暖房が効かない部屋で買ったばかりのユニクロのダウンジャケットとその下にアーセナルのロゴ入りパーカーを着込んで必死に文字を削った。

そして正月の三日目を過ぎ、会社出社日となった1月4日の午前2字頃、ワードの文字カウント数はついに1万文字を切って9993文字になった。

削り終わってもう一度原稿を読んでも正直何が面白いのかよく分からなかった。

でも出来上がった物語はそれなりに筋が通ってると思った、いや筋だけ残したんだからそういうものかも知れない。

去年、何もしなかった僕が通した筋が下記リンクの「美少女と金持ちと殿様」という短編小説になります。

是非読んでレビューとか付けていただけると何かと便利ですし、私が喜びます。

よろしくお願いします。

(なんも考えないで書き始めて気がついたら3600字だからもうなんか無駄に文字だけ書ける能力が身に付いているのでは?)

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