失楽園

並べて潰して
少女たちは歌う
夏の日のような声で
亡き春を想う
白く青い時を共に過ごす
夢の園の話
今では誰も信じないであろう
あの、まぶしく眩む
夏の朝の湿潤の光が
曇りガラスの窓を透かして
あなたの、その
長く美しい髪を梳いて
鼻先をくすぐる柑橘の風
絵に描けないほど透明なクリスタル
制服の白が照射する日差し、光
またたき、また、潤って
滴り落ちるまでのわずかな間に
暮れる墓標の伸びる影
私たちのぶんのもの
足跡は乾き、ひび割れてそのまま
外はもう銀の月
裸のままの私たちのこと
すっかり枯れて荒れ果てた庭
朽木の園のいいわけにして──

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