左の手のひらと右の手のひらをくっつけて
器の形のようにしてみる
この手の中に収まるほどの幸せも不幸せも
私は私のためでなく
誰かのために使い果たしたいと思う
突然の雨に降られた夕暮れに
混み合う県道の端から端まで
探してみてもいないあなたのぶんまで
ふたつの目に映るだけの美しさ
ひとつの鼻で嗅げるだけの芳しさ
とうとい海の波の音を聴く耳を
囁きひとつ響かせてくれる唇
私は今、影となって
いないあなたのぶんまで
融けてしまえる
消えて、流れて、しまいたくなる
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