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黄金の国

渇いた感情と抑圧されたフラストレーション
自慰によく似た発熱狂った肌色思想の濡れた指
零落し切った眼球が孕んだ景色は
フィルムカメラのような錆色
揺らめく水面のほつれを引っ張るような愚行を
繰り繰り返してぼくら
摂理に従い年老いて
仕方がないから下手に笑って
悲しいくらいに大人になった
靴底に張り付いたガムは
数時間前までは誰かの口の中にあったもので
それを鮮明に記憶したまま
今では汚れてゴミと化す
日々は累々散らばって
箒に掃かれるがまま右へ左へ前へ後ろへ
どうせ最後は燃やされて灰となり
土中に投げ出されるだけ
からかいを覚えたばかりの幼子の
意地の悪い笑顔に腹が立つ
愚かにもそれの相手をする若い母親の
くだらない愛情にはその倍腹が立つ
煮えた血に湧き上がる気泡は
その全てにIQ12の意思が宿って
時折、喃語を吐き捨てながら
静かに破裂し消え去る定め
この国は宝を持ち腐らせて
泡銭ばかり追いかけるから
肥え太った老人がハズキルーペのCMのように
破裂寸前の尻で臍帯が繋がったままの胎児を潰す
持主不在のスマホが光る

#詩 #自由詩 #現代詩 #ポエム #note文芸部 #100日詩チャレンジ #52日目

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