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かなしみの連鎖の中で

生きているだけ
やるせなさを携えて
落っこちろ
空。
それはつまり
アザだらけ
カサブタだらけの両足の上で
食べて寝るだけ

ぼくらはどこまで行けるだろう
悩みはあるが
いわゆる排出される精子と卵
ぼろ切れみたいなやさしさが
誰の底にも
(開きっぱなしの)魚の詩 砂の国

踏み出すたびにキリキリ痛む
心の揚げ足
ありとあらゆる汚れが
どうしようもなく恨めしく思える夜を
糞尿と共に撒き散らして
(取るな 取るな)
この水の中ではきらびやかに
(負けるな 勝つな)
まんまるい涙で拭き取って
誰の頭の中にも(落っこちろ!)
融けて解けて透明になる
池一つ、身一つ

許しも許されもせず
おだやかな波打ち際に立つ
勢いも脅しもないまま

「誰にでも優しくすればいい」

きみには見えるだろうか

この世界に浮かぶもう一つの月の
あの濃緑の光が照らす
半開きの扉の小さな小さな鍵穴を
覗けばいい
不条理に満ち満ちた街と
そこに生きる人たちの苦しみを逆さまに
目を洗い、脳を裏返し
悶える彼ら彼女らの
銀河を孕んだ近眼ぎみの
黒目の、あのおぼつかない焦点

飛びも歩きもせず
多くを望まず
猫を撫でる
果てしない
かなしみの連鎖の中で


#詩 #自由詩 #現代詩 #ポエム  100日詩チャレンジ #note文芸部 #85日目

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