狒々
細胞の分裂 (αとβの統合と乖離)
ひっきりなしに繰り返される
生き死にのサイクル
夜明け過ぎまで続くノイズは
チェンジマークの点滅を巻き添えて
エーテル体の微弱な振動と連動し流れ
奥底で炎上するデザイアは蝸牛の歩みで
脳内に浮かび上がるクオリア(この部屋は常に湿度が一定である)
雑に乱れ散る肉片ひとつひとつが視る狂気
孕む愛情の表情
パプリカの赤色的なイメージが裏打ちして
甘い吐息溢れドラムンベースは加速加速加速する
末端の末端のそのまた末端の末端の末端に止る
失禁、脱糞、啼泣の末の人格形成
手足の生え揃う前の胎児の頭部に蛸足のプラグ
接続して観る黄泉の記憶から空回る
《卵割の誘発》の絵文字がテロップに浮上
その隣では揚羽蝶たちの遊覧
低迷する生命の質を問う
空論飛来の机上で今まさに発生したばかりの
白い入道雲が空を侵食するように
右の中指にできたささくれを引っ張る
この世に存在しているありとあらゆるものは
だいたい全部限りがあるから
仕方なく車中泊する夜くらいは
無限大について夢想したいと思う
キリンの欠伸、鯨の抱擁
きのこ同士の伝播的コミュニケーション
Y字を維持したまま半永久的に拡大する家系図に
埋もれていくだけの名前
印字、羅列、埋没、腐食の連続に酔って
毎度のことながら嘔吐してスッキリすれば
鮮やかに海馬は透明度を保ち
子宮内膜に包まれた胎児は
もうすっかり手足も生え揃い
自らの爪先に付着した血を嗅ぐ
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