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壁画を照らす

老いた体を震わせて
きみはサナギの奥の奥
化石に乾く心臓の
今は冷えたる血の管に
怯え、溜まった毒の汁
動くたびに溢れ出し
地を濡らし、満たす
戸惑いの夜

椿の櫛のうるおう艶に
やけに孤独な鍵穴を見た
きみは、偽りの国の文字に打ちひしがれて
ヒビのはいった脊髄の
青く透明な芯のなか
静かに燃える灯火に
枯れ枝を焼べる、
ように、ふるまう

火は、滞りなく揺れて
影を壁中に踊らせる

#詩 #自由詩 #現代詩 #ポエム #note文芸部 #100日詩チャレンジ #79日目

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