見出し画像

冬枯れ、水涸る

冬の奥底
凍てつく水面
月喰う龍の
白磁色の爪、牙
澄んだ白眼の
あられもない白さ
地獄の針の様相と
呪いのような音律
渇いた五線譜の上で
跳ねる言葉の数々が
詩になり、歌に変わり
紡がれる物語はやがて
編まれて神話として
絵に描かれ石に彫られ
拝み、恐れられ
奉られた果てに
こんな豊かな今がある
産婆の腕で声を上げ
泣く血濡れた我が子の
剥き出しの命
臍に、肉の管

車輪が廻る秋の夜の
現れては消える影を見つめる
コンビニからの帰路
あなたの隣にいる私の
なんとも透明な足取りと髪
まだ10月なのに
途端に寒さを増した闇に
凍てつく毛先が乾燥して
骨みたいに固まるのが
嫌でもわかる
私はあなたの手を握りながら歩く

光の矢の飛ぶスピードで

私たちは消えてなくなっていく
火花散る、刹那の暗闇
風と波の音
大きくなって、小さくなった
食べられて、枯れていく
さまざまなものたちに
まざまざと見せつけるように
愛する、時々嘘をつく
歩くように走る
負けないように、笑って
枕を濡らしたまま眠る
眠って、起きたら
もう、あとわずか

#67日目 #詩 #自由詩 #現代詩 #ポエム #note文芸部 #100日詩チャレンジ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?