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十六夜行

夕暮れから黒い影が伸び
真下から、すぐそばへと
夏の死、血飛沫
淀みなく動き続ける静脈
赫く蠢く災いのようで
呪いのような
葬いは月光に焼かれ
やつれ、細り
やがて消えてなくなる

「この中で、誰が一番先に結婚すると思う?」
楽しかった記憶、鈍痛で薄れ
紙の上に吐く詩を踏めば
水面に広がる波紋の静寂が
凍て蝶を揺らす

夢!
冴え冴えと横たわる極彩の海
それは人知れず死んでいった者たちの暗喩
その小刻みな揺れ、震え
耐え忍ぶ影に身をやつしては
鋭利な眼光に貫かれ、秋になる体
赫く、痙攣しながら垂れる血
全ては、動かないように見える
月を追い、果てる秒針の比喩にして

#詩 #自由詩 #現代詩 #ポエム #note文芸部 #100日詩チャレンジ #57日目

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