木川南小 久保校長先生に関しての、松井市長の発言まとめ

先ほど、木川南小の久保校長先生の処分に関連する文書を投稿しました。
この文書を読み解くうえで、またこの件を解釈するうえで、松井市長が本件に対してどのように言及をしていたかは、重要な情報だと思っています。


私は、この1年程度、都合のつく範囲ではありますが、吉村知事および松井市長の囲み会見の発言内容を書き起こしています。
そこで、この「提言」が問題視されて以降、松井市長が本件について言及した部分を掲載します。

なお、日々行なっているのは意図を変えない範囲の要約記載のため、敬体で話している箇所も常体で記載している点は、ご了承ください。
どうしても聞き取れなかった箇所は○○と仮文字を置いています。
また、松井市長の発言を示す「松井:」については、日々の書き起こしの際に、公務パートを「松井市長」、政務パートを「松井代表」と書き分けることを省略していることに起因するものです。ご了承ください。

定例会見(公務パートのみ)については、大阪市さんが公式に全文テキスト版を公開されていますので、それを転載しています。
定例会見の政務パートは、THE PAGEの書き起こしのリンク先を紹介いたします。


2021年5月20日 囲み会見

記者:大阪市立木川南小学校の校長先生が松井市長宛に、提言書を出している。18日ぐらいに役所に届いていると思うが、ご覧になったか?
松井:読んだ。役所からもらって読んだのではなく、ネットにも出てるから読んだ。その校長の考えは一つあるだろうが、僕とは少し考え方が違っているようだ。

記者:基本オンラインとされた市教委の方針に対し、「通信環境の整備等を十分にやることのないまま場当たり的な計画」「混乱を極め何より児童生徒に負担がかかっている」「安心安全前も学ぶ権利もどちらも保証されないまま」などの意見があるが、どう受け止め?
松井:そういう考えの校長もいるんだなと思っている。大阪市各学校現場に17万人の児童生徒がいる。学校数だけでも500を超える。その校長の考え方はそうなんだろうけれど、我々は子どもの命を守ることを最優先に、コロナ対応の手段としてオンラインを活用した。その校長先生の文書を読んでいても、世の中全てどこに行っても良い人ばかりで、もっと競争するよりも皆が全ての人を許容してそういう社会の中で子どもたちが生きていければ、というのは理想。
ただ校長だが、現場を分かっていない、社会人として外に出たことはあるんかなと思う。どこの世界でも、今の時代、凄いスピード感で子どもたちは競争する社会の中で生き抜いていかなければならない。
考え方の違いだが、僕は、小学校中学校、義務教育の間、将来の子どもたちが青年期、熟年期の年齢になった時に、世界中の同年代の中で生きるための力を小中学校の基礎部分で培うことは非常に大事だと思う。
だから、保護者の皆さんの考えの中で、競争社会じゃなくゆっくりと競争がない環境の中で生きたいという環境はあるだろうが、好む好まざるとに拘わらずそういう社会になってきている。だから僕はそういう中で生き抜く力をつけることを、教育現場として作っていきたいと思っている。

記者:教師についても、人事評価シート、目標管理シートなどの単語を出して、教師が疲弊していく等の表現があったが、教師の人事評価制度についての考えは?
松井:学校現場の主役は子どもたち。教師が自己満足でやっていても仕方ない。一生懸命やっていても、その子どもにそれだけの能力がそなわらなかったら、どうなんですか?そこが僕が一番違うと思う。
世の中の人は、みんな一生懸命やっている、民間の仕事も。でも、結果が伴わなかったら、自分のポジションは競争社会の中で淘汰される。学校の先生は、子どもたちのスキルをアップすることが重要な仕事。
先生が一生懸命やっているのは当たり前。どんな仕事でも、みんな一生懸命やる。
もう一つ、評価システムと言うが、子どもたちが下がったときに先生の評価が下がるんじゃなくて、身分が下がるんじゃなくて、きちっと子どもたちの学力を上げた、結果が出た先生にインセンティブを与える、プラスの評価をしているだけ。マイナスの評価はしていない。
そういうのが、校長先生としてもうちょっと視野を広く、世界における子どもたちの環境を考えて、マネジメントしてもらいたい。
君、朝日新聞の記者も一生懸命やってないの、記者の仕事?

記者:いや、自分は一生懸命やっているつもりです。
松井:この中で、やってない人おんの?みんな一生懸命はやってるやろ?でも結果は違ってるよね?それぞれ、抜いた/抜かれた、特ダネとったって、競争してる。
自分らだけ一生懸命やっている訳ではない、みんな一生懸命生きている。僕は一生懸命生きている時に、より少しでも子どもたちが豊かになれるように、子どもたちの体力も知力も、基礎部分をしっかりと培ってもらいたいと、小学校中学校の学校現場で、そう思う。
勉強だけじゃないと言われれば、僕かてあんまり勉強していないから。
でも一生懸命はみんな生きてきたし、先生が一生懸命やっていないというのを、否定するわけではない。
でも先生の仕事は、子どもたちの能力を、スキルをアップするのが結果でしょ、と僕は思う。

記者:疲弊、やりがい、使命感というのは、違うと思う?
松井:結果で疲弊してやりがいが見つけられないなら、違う仕事を探した方が良い。
どこの民間、業界であろうと、みんな一生懸命やっている。一人ひとりは評価されている。どこの社会でも。
君らの社会でも評価されるんじゃないの?
その評価がキツすぎるとか、耐えられないというのであれば、仕事を見直した方が良いと思う。

記者:市立小学校の校長先生が、実名を出して市長に手紙を出して提言することは、あまり例が無いこと。市役所に呼んで事情も聞いているようだが、手紙を送る行為についてどう思う?
松井:それは自由。表現の自由。言いたいことは言えば良いが、考え方は違う。僕も言いたいことを言っている。
評価システムで疲弊するとか、そもそも学校現場で先生方を競争させるのはおかしいとか。でも子どもたちは競争社会の中に居るんだから、どの社会でもみんな切磋琢磨している。
どういう民間の会社であろうと。そこには必ず評価システムがある。
その先生として、それは耐えられないというなら、仕事を変えたほうが良いと思う。


記者:市長に手紙を書いたことは表現の自由ということは、そのこと自体は問題ないという考えと理解したが。
松井:言いたいことは言えば良い。

記者:SNSに載り、広く社会に触れている。大阪市長、大阪市教育長以外の目にも触れていることについても問題ない?
松井:別に構わない。

記者:そこが問題という話も聞いたが。
松井:その先生はやはり自分の責任で公に広く広報をしている。その学校は保護者から見ると、温室栽培で子どもたちを緩いかたちで、みんなで仲良く。みんなで仲良くなんて当たり前だが。
でも、大阪市の教育の大方針としては、僕が知事時代に教育基本条例として、理事者が教育の方向性を定められるという形をつくった。我々は、子供たちが将来生き抜くための力を身に付けてもらう、その責任が僕らにあると思っている。
言いたいことは言って良いが、それは大阪市の教育方針とは違う。

記者:市長の認識として、SNSも含めて、意見を言うことは問題ない?私も普段取材をしてきて、校長に限らず先生でも実名で意見を言うことは尊いと思って取材をしている。呼ばれていると聞いたので、ペナルティ等があるのかと思ったが、事情を聴いてペナルティや処分となる可能性はあるか?
松井:僕に、一人ひとりの先生の人事権はない。僕がその先生を処分するとかは全く考えていない。ただ、組織の中なので、教育基本条例の教育振興計画がある、ルールとして。
組織の中の一人のマネージャーとしたら、ルール通りに現場を進めていくことが、社会人としての当然の行動だと思う。
個人の意見を言うのは構わないが、現場は、教育振興計画を持っているので、その計画に沿った形で運営してもらわないと、そこを否定されると組織の一員として逸脱していることになる。

記者:人事権は大阪市教育委員会だが、市長個人のお考えとしてはどうすべきと?
松井:言いたいことは言って良いが、何度も言うように、組織として大阪市教育委員会には教育振興計画がある。だから、そのルールに沿った形で、自分の意見と違うから大きな方向性を逸脱することになれば、組織として持たない。ルールに従えない、振興計画に従えないというのであれば、組織を出るべきだと思う。
言うことは自由。表現も提言も、個人で自由に言って良いが、大きな方向性は決まったことは守る。当たり前。

記者:どうするかは、教育長に委ねる?
松井:僕に人事権はない。市教委の判断。
ただし、こういう表現をしたから、で処分することはないと思う。言ったことに対しての処分じゃなくて、大きな方向性を逸脱するとルール違反、それは処分対象になる。
それがどうしても方向性が合わないのであれば、組織のガバナンスが取れないので、自分で組織から去るべきだと思う。

記者:1・2限は預かりはできるとしている。学校判断、保護者判断にゆだねられているところがあり、対面を重視すべきということで、殆どの生徒が学校に来ているところもあるといくつかは聞いている。そういうものがルール違反ということではない?
松井:元々休校ではない。僕らで考えていたのは、保護者にも多種多様な声がある。「学校へ行かせるのが心配」「家庭の事情で自宅では見切れない」多種多様なニーズに応じる中で、オンライン授業という設備を、何とか前倒して整えてきたので、活用しようとした。

記者:今回のオンライン授業について、まだ市教委では総括できていないと思うが、実名で投書された先生のような考えを持っていらっしゃる方は少なくないかなと思う。市長も今回の決断は、子どもの命を考えて決断したとは思うが、今後こう言ったことがあり得なくはない中で、現場の声を聞く考えは?
松井:「現場の声」とこの間からMBSも言うが、大阪市の組織で全て現場担当者の声を、市長は聞けるか?だから組織化してそれぞれの責任者がいる。現場の声は、それぞれの部署の責任者から、僕はきちっと聞いている。
どんな組織であっても、現場の声はどのレベルで聞くのか?
中小企業で、現場に出ている社長であれば、課長、部長、平職員の声を聞けるが、この大阪府も大阪市も数万人規模の大組織。どこを以って現場の声と言うのか?
僕は「現場の声」というのは、現場のマネージャーの声を聞いている。それは現場のトップ、各部局長の話をきちっと聞いてるし、それぞれの職員が自由に発言することについて何ら制約もかけていない。

記者:然るべき立場の方から、現場の意見を吸い上げて聞いているということだが、現場の意見は全ては聞ききれないが、一定吸い上げたうえでの判断だったということ?
松井:もちろん。

記者:SNSで手紙を見られたと聞いたが、それは役所の職員から手紙を見せられる前に、登庁されない間、昨日とかに見られていた?
松井:えぇ、見てましたよ。

記者:それはTwitterか何かで?
松井:そやったかな?

記者:SNSで?
松井:うん。


2021年5月21日 囲み会見

記者:萩生田文科大臣が定例会見で、木川南小の校長先生の提言について質問が出た。オンライン学習について、不具合の指摘があったならば、耳を傾けて改善していけば良いんじゃないか、とのことだった。それについては、その様にしていくつもり?
松井: 当たり前やんか。
何度も言っているように、対面ができればそれがふさわしい。でも今回オンライン学習も問題点はあるが、100%完璧じゃないことを我々も認めたうえで、緊急事態だったのでスピード感をもって、端末は1人1台整備できているのでその設備を活用しようと判断した。
改善点があれば、問題点があれば、日々改善をしていくことは当然のこと。

記者:昨日、意見を言うことは良く、直接でもSNSでも良いとのことだった。公務員であっても、意見を言うことは問題ないと思っていらっしゃる?
松井:意見を言うことは問題ないが、大きな方針は組織として決定事項なので、決定事項に対して考え方が違っても、決定事項の設計図に伴った行動、ポジションでの職務を遂行してもらうのは当然。その職務を、大きな方向性が決まったことを否定するなら、それは公務員としての職責に対して逸脱しているということ。
朝日新聞がよく言う、卒業式等の中での君が代、日の丸は、我々は職務既定の中でルールとして決めている、職務の。それは思想信条とは違って。その方が自らの思想信条の中でルールを逸脱して起立斉唱できない場合は、規定違反なので処分対象になる。

記者:発言は自由と仰ったが、発言の内容がルールから逸脱していた場合は、それはダメだということ?
松井:ルールから逸脱するような形で、昨日も言ったが教育振興計画と違う形で学校運営をするのであれば、ルール違反。やめてもらわなあかん。

記者:発言というより、行為。
松井:学校マネジメントをする人が、この振興計画に沿った学校運営はできませんとなれば、行為というよりその人は職務専念義務違反、決まってるんだから。

記者:発言も含めて違反?
松井:「やらない」という発言は、責任者として不適切。「言われた振興計画に沿った形で学校計画はします、でも僕は違うと思っているんです」そこまでは良い。
でも「僕の思いと違っているから、働く気力を失っている」「思いと違うから疲弊して辞めたい」というなら、そういう気持ちの人が現場にいる方が、子どもたちにとってはマイナス。

記者:処遇が気になるが、処分の可能性があるとお考えか?
松井:決めたことをやらないと言ったら、処分の対象になる。
考え方は違うが、今の教育振興計画に沿って運営するというのが当然の話。
社会人として当然じゃないの?ルールとして決まっているんだから。
組織で決まったことを覆そうというのであれば、自ら公約を掲げて市長にならないと変えられない。
そういう形で、教育振興計画は作ってきた。教育振興条例も、当時、我々が府市で作ったが、「教育に政治が関与するのか」と現場から大反発があった。
その条例があるから振興計画があるのだが、それは民意を受けた政治家がルールを定めたので、それを変えるなら、教育基本条例を廃案にするようなポジションにならないと変えることはできない。

記者:今回の話は、処分対象になりうるという話ですね。
松井:処分するかどうかは、教育委員会が決める。僕は処分権者ではない。

記者:市長からご説明あったように、基本条例で首長が教育目標を決めることになっているので、他の自治体に比べたら首長の教育委員会への影響が大きい、人事権と言われても。
だから、市長の発言は影響するんじゃないかと思っている。
松井:教育基本条例の中で作られたのが、教育振興計画。この計画は、教育委員会の委員の皆さんとも協議をして決定された10年間の計画。
この計画に基づいて学校計画は運営される。その現場の運営を担うマネージャーが校長先生。決まったものについては、大きな方針に沿って運営してもらわないと、自分の思想信条と違うから、と決まったことを否定することは、職員として職務専念していないことになる。
言った内容によって処分されるのではなく、決められた仕事をしていなかったらどこの社会でも処分対象になる。
君、今記者やけど、記者の仕事が嫌やからって、朝日の中で違う形で仕事をしてたら「言われたことと違う」と処分の対象になるんじゃないの?

記者:状況によります。
松井:会社が決めた人事の処遇と違う仕事をしたら、処分の対象にならへん?自分勝手な解釈で。

記者:自分の担当の仕事をちゃんとやっていれば自由。
松井:だから、校長は教育振興計画に沿った形での学校運営を無視して、違う運営をしたら、職務専念義務違反。
この人の思想信条によって処分されるのではなく、決められた仕事をしない場合は、どこの社会でも処分対象になる。


2021年6月2日 囲み会見

記者:今日のお昼に、自由法曹団という法律家の団体と、民主法律協会という弁護士・研究家の団体が、木川南小校長の提言に関連して要請書を山本教育長宛に出した。
その中で、松井市長の「ルールに従えないなら組織を出るべきだと思う」「教育振興計画を○○するならルール違反、やめてもらう」「決めたことに従わないなら処分の対象」を引用し、まず一つは、校長を懲戒処分にしないでほしい、○○行為に該当しないとのことだった。
これについての受け止めは?

※注 記者の方が仰る要望書は、下記リンク先をご参照ください。
https://www.minpokyo.org/statement/7848/

松井:発言を以って処分するとは一言も言っていない。僕が言っているのは、どういう団体の抗議文書、要望なのかは分からないが、世の中はルールを破れば、処分の対象になるのは当たり前。どこでも。法を破れば、刑罰を伴う罰を受ける。
まずそれぞれの人が集まるエリアには、その団体ごとにルールがある。ルール違反をする者は処分無しというのは、どの世界でもない。
大阪の場合は、教育基本条例という条例がある。その条例に基づき教育振興計画がある。これがさっき言った市長と教委が協議して、ある一定期間の教育方針を定めるもの。これに基づいて現場は動く。
だから、現場の人がルールに基づいて決定された事項を無視して職務をすると、職務規律をなさないし、処分の対象。当たり前のこと。

記者:そう仰ったことに対して、しないでほしいという要望だが。
松井:ルールを逸脱したら処分の対象。その人たち、弁護士の人たちもいる?

記者:います。
松井:法律違反した者は、法律家ならわかるでしょ、法律違反をしたら、ルール逸脱したら処分の対象になります!誰でも、当たり前(エキサイト気味)

記者:要請の内容で、市長の発言について、法的根拠なく教育への不法な政治的介入であると仰っていて、今仰っていた教育振興計画も職務命令ではない、と。市長が学校現場に職務命令を出す権限はないんだという論理で、政治的介入だと仰っている。それについては?
松井:コメントする気もない。
職務命令を発した覚えはない。さっきも言ったように、教委の権限の範囲。権限は教委にあることははっきり言っている。
そういう人たちこそ、政治的介入なんじゃないの?政治的思惑で、我々に僕に対して、提言というか、抗議に来ていると捉えている。

記者:職務命令を出したことはないので、先ほどの「ルール違反なら辞めてもらう」「処分の対象」という言葉を発していても、不当な政治介入には当たらないという考え?
松井:全く当たらない。その人たちが、政治的思惑を以って介入しているんじゃないの?

記者:市長に処分権限はないが、現状その方がルールを破ったかどうかという認識については?
松井:教育振興計画を否定するなら、我々の組織の中で学校運営するのは、違うんじゃないかと思う。これは、教委と市長、正確に言うと今の計画は当時の橋下さんが教委と協議をして作ったものだが、教育基本条例という元の、市としては一番守らなければならないルールに基づいて振興計画ができているので、その振興計画に沿った教育現場を運営するのが校長の責務だと思っている。

記者:「運営する/しない」と計画へ意見を述べる事は、次元が違うと思う。計画を否定することがルールを逸脱していると考え?
松井:計画を作る段階では、現場教師の声も聞きながらやった。教員の皆さんをマネジメントするのが教委。そんなこと言ってたら、大阪市の500校ある教育現場の教職員が全く同じ価値観なのか?それは違うが、でも大阪の教育はこういう方針でいこうというのは決めたんだから、決めたら従わないといけない、公務員なんだから。

記者:市長は従っていないと捉えている?
松井:だって。文章を読むと否定されている。否定されても、自分は違う考えでも、振興計画に沿った現場運営をするのが、校長の現場マネジメント、責務だと思っている。

記者:計画に意見があったとしても遵守して運営していれば、それについては?
松井:それは職務違反とは思わない。公務員は職務専念義務がある。職務専念義務を担うために色んなルールに基づいて義務が求められている。それが教育現場では教育基本条例だし、大きな方向は教育振興計画。それを言うと、民主主義が成り立たなくなる。
選挙で我々は教育基本条例を掲げて作ったし、議会の過半数同意も取り付けた。それの大きな教育現場の方向性は、市長と教委が協議をして定めることになっているので、一人の校長が自分の意見と違うからと言って従いませんというのは、公務員として職務専念義務違反になる

記者:実際に従っていなかったらの話ですよね?
松井:そう。

記者:疑義行為かどうかは、市教委が調べている最中だと思うが、市長が様々な意見をいうことは認めている段階で、疑義行為かどうかは分からない段階で、市長は「社会に出たことがあるのか」「辞めるべきだ」という発言をされていた。それによって現場が委縮するのではないかという声がある。
松井:「辞めるべき」というのは、ルールに従えないという表現をされたので、それは職務専念義務違反だし、やる気がなくなっているとかいう表現もあった。やる気がない、ルールを守れない教員が居るのは児童生徒にとって不幸だし、ご本人もやる気がないのに仕事をするのは、やり甲斐さえ見つけられないなら、違う仕事を見つけたほうが本人のためになるんじゃないかということで、そういう発言をした。
僕が言っているのは、校長が言われたことに対して、一般的に違うというところについて否定しただけで、彼を処分するとは一言も言っていない。
ルールを守るのは当たり前のことやと思う。学校でルールを守れって教育してるんじゃないの?そのルールが自分の考えと違うからといっても、決まったルールを守る。これは当たり前のこと。


2021年8月23日 囲み会見

記者:先週、夏休みを取られていたということだが、その間の金曜日に、木川南小の久保校長に文書訓告が出た。これは事前に報告を受けられていたか?また、受け止めを。
松井:処分に対して、様々な議論が教育委員会(教委)行なわれていることは承知をしていた。ただ、処分権者は教委なので、そちらで判断をされたことだと思う。

記者:事前の報告はなかったのか?こういうかたちで、ということについて。
松井:処分の内容の中身について、詳しく聞いていないが、検討しているということは聞いていた。だって、僕が処分について重い・軽いを言える立場でないし、そういうことは一切言っていない。

記者:20日に出すということは、特に聞いていなかった?
松井:いつ頃というのは聞いていたが、20日というのははっきり聞いていなかった。

記者:出すことは聞いていた?
松井:処分を出す為に、教委の中で協議されているわけだから。

記者:意見を実名で出した校長先生が、懲戒処分でないにせよ処分を受けているということで、現場が委縮するんじゃないか、という懸念があると思うが、それについてどのように?
松井:朝日新聞、毎日新聞が本当に恣意的な方向にもっていきたがるが、意見を言うことに対して、我々は意見を言うことを規制するとかそれに圧力をかけることは一切ない。言う場所はある訳だから、校長先生。
ただ問題なのは、大阪市は教育基本条例と教育振興計画という計画を、民主的手続きの下、ルールを定めている。それに逸脱する現場のマネージャー、校長というマネージャーが、決まったことに対してその方向に従えないとか、その方向で先生が疲弊するとか、やる気を失うとか、そういうのは現場のマネージャーとしておかしいでしょ、ということ。
意見を言う場所はたくさんある。校長会議で言えばいい。
教育基本条例の時も、我々は教委とも散々やりあった、僕は当時知事だったが。そこで意見を封殺したことはない。彼らは大反対した、教育基本条例の時も。それに伴って、教育振興条例も、何で首長が教育と一緒になって教育振興計画を作るんだ、これは教育の専門家に任せておけ、というのが当時の教委の考えだった。
でも我々はそれは違うということで、予算を作って、教育の大きな方針については市長も参加すべきということで、今、大阪府も大阪市も、教育委員会会議に首長が出席することになった。これについては、結果も伴ってきているし、その方向で間違っていなかった。
「それは違う」と言うなら、それを掲げて、条例を廃止するなり、条例の中身を変えないと。決まったことには組織の一員として従ってもらう、当たり前のこと。

記者:提言書を出したことについて、それ以前に市民の声に、4月に実名で3回意見を出している。ただ、届いている実感がない、ということで実名で提言を出すことに至ったということだが。
松井:何で校長先生が、市民の声に。校長会議で言えばいい。でもそれは聞いている、教委に。でも聞いているが、大阪市の教育方針にはそぐわないということで、意見を取り入れられなかった。意見を取り入れるまで、言った意見を取り入れて、大きな方針を変えない限りは、校長がすべて正しいのか?その校長が大阪市の教育を変えたいのであれば、自分の理想の教育が、子どもたちのプラスになると自信を持って言えるのであれば、教育基本条例を変える活動をしないと。
でもそれは、まさに今回その校長がやっているのは、政治的なものも含まれる中で活動をされている。そういう形で政治運動をするのではなく、やはり選挙に打って出ないと。
そこで議会の同意を得て、教育基本条例を変えるべき。

記者:校長先生の全てをしているわけではないが、内容を見ると、政治運動だと思わないが。
松井:政治運動。共産党と同じやり方をしている。

記者:郵送すること?
松井:郵送もそうだし、市民の声?何で校長が市民の声を使うの?言う場所はあるんだから、校長会議で。でもその校長は多分言っている、僕は直接聞いたわけではないが。
ただ、教委の中ではその校長の意見は聞くけれど、採用されなかった、ということ。採用されなかったら、今度はSNSで大批判運動をする。これは共産党のやり方

記者:7月に教委が教育委員長名で「基本的な考え方」を出したが、正式ルートを通じて意見をどんどん出してください、と結ばれていた。意見の吸い上げ方は、今まで通りにするのか?それとも、校長会の意見が届きやすいようにするのか?

※注 記者の方が仰る通達は、下記リンク先のものです。
https://twitter.com/katakorinaoshi1/status/1426930502838013953?s=20

松井:校長会の意見が届くってどういう意味?組織なんだから、僕は教委のメンバーときちっと話をしている。それを言い出したら、君ら朝日新聞も、記者の意見は直接社長とやりとりしてるんか?そこにキャップが居て、デスクが居て、取締役が居る。組織というのはそういう形で動くもの。

(間に別の質問)

記者:文書訓告に、「他校の状況等を斟酌することなく、独自の意見に基づき、本市の学校現場全体でお粗末な状況が露呈し、混乱を極め、子どもの安心・安全が保障されない状況を作り出していると断じた」とある。この文言についての考えは?
松井:文言は教委に。そういう判断をされたんだから、教委としてそこに問題点があったのでしょう、ということ。
教委に聞いてよ。文言一つ一つまで僕に聞かれても分かりません。

記者:市長はこの場(囲み会見)でお聞きした時に、「処分の対象」「出ていかないといけない」など色んなご意見を仰っていたので、市長にもお聞きしたいと思う。
松井:僕の考えはその通り。組織の中に入れば、組織で決まったことを、しっかり役割に応じて実行していくのが、組織の一員の仕事。校長先生というのは、学校のマネジメントを担っている。教育の総合プロデュースというのは、教委がやっている。
僕はそこに、大きな方向性を定めるときに、大きな方向性を決定する権限を持っているだけ。
総合プロデューサーである教委がそういう形で決めたことを、学校のマネージャーは決まったことに従う。決まったことに従えないのなら、わが道を行くというなら、組織から離れるべきだと思う

記者:ということは、市長も文言には賛成ということ?
松井:賛成

記者:「他校の状況等を斟酌することなく、独自の意見に基づき」というのは、市教委もアンケートをされていたし、混乱があったことは事実だと思う。それを以って「斟酌することなく、独自の意見に基づき」というのはどうかと思うが、そこを含めて。
松井:「独自の意見」ということを、教委がしているんだから。まさに「独自の意見」なんでしょう。
僕は意見を言うことは否定しない。言う場所もあるから、校長会議で。
だからと言って、自分の意見が通らなかったらSNSで政治運動的に活動するというのは、学校全体のプロデュースをしている教委としては認めることはできない、ということだと思う。


2021年9月16日 定例会見

記者:週刊金曜日の取材をしておりますフリーの記者で永尾と申します。大阪市立木川南小学校の校長が、松井市長あてに大阪の教育の行政に関する提言を送ってですね、8月に文書訓告処分になった件に関連して伺いたいんですけれども、そもそもことの発端がですね、4月19日ですか。松井市長が記者会見で、緊急事態宣言が発令されたらオンライン授業にするというふうなことを仰ったことが発端で、これがですね、本来そういうオンラインにするか否かっていう権限を持つ教育委員会に相談せずに、記者会見で発表されたっていうのは違法ではないかというふうに思うのですが、この点いかがでしょうか。
市長:いや、オンラインにするかどうかっていうことは、第1波の時から教育委員会と子どもたちの健康被害、健康を守るために協議はずっとしてきました。全く今年の4月19日に初めてやったことではありません。去年のコロナ発症以来、やっぱりオンラインというものは必要だねということで、オンラインのそのシステム整備自体を、我々は去年の時点では2023年目途に準備してたんですけど、これを前倒して今年の4月からこのオンラインでの授業が可能になる設備を前倒しで実施したわけです。だから、去年からそういう話は教育委員会と僕の間でありました。今年の4月、第4波の状況の中で、新しい変異株っていうものが出てまいりました。これはちょっと子どもの感染というものも、非常にリスクが大きいのではないかと。これは分かりません。まだ科学的に証明されてない。そういう中で、やはりこのオンラインのシステムが整ったので、ぜひそのシステムを稼動させて、子どもの学ぶ権利を守りながら、健康も守っていこうということで判断したわけで、これは別に違法でも何でもないと僕はそう思ってます。

記者:すみません。ただ、今回のオンラインにしますよっていうことは、記者会見で発表される前に教育委員会には相談されてないですよね。

市長:いや、オンラインの可能性は教育委員会とも協議してきましたし。

記者:可能性ということで、やりますよ、やりたいんですけどっていうふうなことは協議されてらっしゃらない。

市長:やりたいということは、協議してましたよ。

記者:ただ、教育委員会で記録に残っているのでしょうか。
市長:それは、調べていただいたらいいんじゃないですか。情報公開請求なり、なんなりで調べてください。

記者:私がざっと見たところ、そういうその形跡はないんですけれども。
市長:だから、それが違法とは思っていません。

記者:あと、もう一点、現場の校長がですね、非常に困惑して、いきなり市長から今後の教育の大方針を聞かされる、テレビのニュースでその教育方針を聞かされるってのは、いかにもこうまずいと思うんですけども、その点いかがでしょうか。
市長:大阪の場合は、教育の大きな大方針については、市長と教育委員会が協議をしたうえ決めると。決定権、最終的に大方針は首長である市長がその方針を決定していくという、そういう教育基本条例というものがありますから、何の問題もないと思ってます。

記者:大方針を市長が決めるというふうに書いてないと思うんですけど。
市長:教育の基本方針については、市長と教育委員会が協議をして。

記者:協議をするっていうことですよね。
市長:だから協議はしてきてますから。

記者:大方針を決めるってことは書いてないですよね。
市長:最終的にはそういう形で、市長と教育委員会で協議をして決定すると書いてます。決定者の中に市長は大きな権限を持っているわけですから。

記者:最終的な権限があるのは、教育委員会ですよね。
市長:大きな方針は市長と教育委員会とで協議して決定するんです。

記者:ただ、文部科学省にも確認したんですけれども、最終的な決定権限を持っているのは教育委員会だっていうふうに言ってましたけども。
市長:それは教育の具体の中身についてですよね。大方針、大きな方針については、市長と教育委員会が協議して決定すると。これ教育基本条例の中にそう書いてます。だから、その方針に従ってやっているということです。

記者:ただ、その学校の地方教育行政の組織と運営に関する法律っていうのがありまして、それによれば学校の教育課程でありますとか、生徒の安全とか保健に関することは教育委員会の権限であると。市長は、それには関与できないんだってことが明確に書いてあるのですが。
市長:それは、教育の中身の話ですよね。だから中身の話、例えば、どの教科書を使いなさいとか、そういうことについて僕は関与していません。でも、教育現場の大きな大方針については、大阪市の教育基本条例の中で、市長と教育委員会が協議のうえ決定するとなってますから、大方針は僕が決定していきます。

記者:その大方針は、やっぱり教育委員会の方に権限があるんじゃないでしょうか。
市長:それは、皆さんの考え方で、我々は条例には、そういう教育大方針については、市長と教育委員会で協議のうえ決定するという条例を可決してるわけですから、それに基づいてやっていきます。

大阪市HPより一部改変
参照先 https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000531927.html


2021年10月1日 定例会見

大阪市HP上に全文書き起こしが、このnote投稿時点で掲載されていないため、THE PAGEのリンク先を紹介します。大阪市HPに公開されれば、差し替えます。(たぶん)

※リンク先紹介で対応しているのは、著作権の都合上です。
なお、9/16分は大阪市HPを引用しており、大阪市HP掲載コンテンツは、第三者の権利を侵害しない範囲で、出典を明記すれば複製・加工をしても問題ないことを確認しています。

公務でのQA 1/2

公務でのQA 2/2

政務でのQA


以上、4回の囲み会見、2回の定例会見での、久保校長先生についての言及を紹介をいたしました。
この投稿は参考扱いでつくったものですので、まとめはございません。
ぜひ、この投稿のキッカケとなった、久保校長先生のお考えが分かる文書と読み比べていただけたらと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?