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「ふるさと納税返礼品」を出品する7つのメリット

三条市(新潟県)CMOとなりました澤です。主にふるさと納税を担当し、三条市のふるさと納税寄付額をアップすること、またそれを通じて、三条市のブランド価値を全国に広めることをミッションに働いていきます。

この記事では、中小企業、特に商圏が所在地域に限られている企業、ネット販売をまだ本格的に行えていない、もしくは課題を残している企業にとって、ふるさと納税に自社商品やサービスを出品することのメリットがどこにあるのか、を書いた。7つ目の地域貢献の部分は全国展開している大企業なども返礼品を提供する意義につながると考えている。

ふるさと納税にとって重要な要素となるのは地元企業が提供する「ふるさと納税返礼品」だ。三条市の寄付額を増やすためには魅力的な返礼品を探し、出品することも必要で、それも私の仕事になる。地元企業の皆様とお話しするときに、返礼品提供企業にふるさと納税という制度ついて正しく理解をしていただくとともに、返礼品を出すことでどのようなメリットがあるのか、ということも提示していきたい。手間をかけずに返礼品を出すことで多少なりとも売上が向上すればよい、という返礼品提供の考え方はもったいないのではないかと考えている。ふるさと納税を通して売上を向上させるのはもちろんだが、副次的に生まれるメリットも意識して提供すれば、企業にとっても得られるものが多くなる。また、企業だけでなく、地域にとっての利益にもなりうる。企業の規模やフェーズにもより異なるかもしれないが、7つのメリットとしてご紹介したい。

1.全国をマーケットにして、売上があがる可能性がある

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まず第一に売上があがる。もしまだインターネットでの販売に十分に進出できていないのであれば、ふるさと納税を足掛かりに全国の寄付ができる方々を潜在顧客とすることができる。ふるさと納税の市場規模は令和2年度で約6,725億円(総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和3年度実施)」)となっている。ふるさと納税は個別独自の市場として確立されており、返礼品として認められることでこの市場に参入することができる。

よほど優れた商品で、勝手にメディアに取り上げられたり、口コミで広がる商品であれば返礼品を提供するだけで売上があがるだろうが、ECの苛烈な競争まではいかないにせよ、ふるさと納税もそれなりに競争はあり、勝手には売上はあがらないと思われる。当たり前の話だが、行政が絡むと何かおいしいだけの話として勘違いされることもあるので、念のため書いておきたい。

また、いくらで返礼品として調達され、出品されるのかも説明しておく。2019年に制度が改定され、返礼品の調達額は寄付額の30%以内に収めなければならない、というルールとなった。例えば、卸値9,000円の商品であれば、寄付額3万円以上でふるさと納税返礼品として扱わなければならない。調達額は企業の売上となり、3万円から調達額の9,000円と諸経費を引いた額が自治体が使用できる金額となる。
消費者の視点で一見すると商品の値段が高くなっただけのように見えるが、実際はメリットが大きく、理解してふるさと納税をしている人なら納得のいく金額だ。なぜなら寄付する人の自己負担は2,000円で9,000円の品物を手に入れ、所得税と住民税が28,000円分控除されるからだ。ふるさと納税のしくみについては総務省のHPをご参照いただきたい。

2.全国にPRするチャンスを得られる

商品がふるさと納税を通して出品される、ということは、商品や会社を全国にPRするチャンスも得られる、ということだ。せっかくすばらしいものを作っているのに、リソースが足りずに全国の顧客を持てなかった企業などは、売上があがるだけでなく、しっかりPRすることでそのブランドも全国展開することができる。

ここまで敢えて、「売上が上がる可能性がある」、とか「チャンスを得られる」という言い回しをした。なぜかというと、ふるさと納税にも競争があり、単純に品物を出すだけでは何も起きない可能性が高いからだ。ふるさと納税のサイトを見ていて、「〇〇県産米10㎏、1万円」のような返礼品のページを見かけるが、それだけでは単純に価格競争をするだけで、価格やブランドで負けていたら売上は上がらない。品質、価格など商品力は普通の市場と同様に重要であり、また、プロモーションについてもどんなお米なのか、誰が作っているのか、どういう食感なのかなど、しっかりとした情報を打ち出す必要がある。つまりは企業努力が必要なのだ。

「なんだ、各企業で勝手に努力しろ、ということなら、別にふるさと納税に出さなくてもいいじゃないか!」という声が聞こえてきそうだが、以降はふるさと納税ならではのメリットについて書きたい。

3.ネット販売のノウハウが得られる、商品力を高められる

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あくまでネット販売に本腰を入れられていない企業にとっての話になるが、ふるさと納税を利用して、比較的参入障壁の低いところからネット販売のノウハウを蓄積できるというメリットがある。なぜ参入障壁が低くなるのか、2つの理由がある。

まず、1つ目の理由は顧客の目だ。ふるさと納税の市場は「寄付」という前提もあり、消費者側の期待値も若干だが低いと考えられる(もちろんここに甘んじてはいけないが)。開かれたECの市場と比べて市場自体も限られているので、比較的競争が少ない。競争が少ないとはいえ、比較の問題で一般的な市場よりは、ということにはなるが、ここで生き残れないのであれば、商品力、プロモーション力、サプライチェーンなど何かしらに問題があるはずで、一般の市場では生き残れない。ネット販売、全国市場に本格的に出ていく前段階としてふるさと納税を使い、どのようにすれば売上があがるのか、商品、プロモーションなど改善していくことができる。

2つ目の理由は、発送作業やサイトへの掲載などは自治体が担当するため、そのためのリソースが軽減され、リソース面でも参入障壁が低くなる。発送もプロモーションも全部自前でやるとなると難しいかもしれないが、まずはふるさと納税から始めてみて、手ごたえがあるところで人手を増やすなど、確実なスタートを切ることができる。

4.新商品のテストマーケティングができる、経営の多角化を目指せる

こちらも前述のことに近いのだが、大企業やネット販売をすでに行っている企業でも新しいコンセプトの商品を出したり、多角化を図るときにふるさと納税のマーケットでテストができる環境がある。もちろん不良品などが多く出るようでは話にならないのだが、今まで自社では思い切って出せなかった新商品やサービスなどはテストマーケティングを行う環境として最適ではないだろうか。

寄付総額上位自治体の返礼品提供企業では、返礼品提供によって起こった変化として、37.4%が「新商品・新規事業」を挙げているという調査もあり、実際にゆりかごとしての機能を果たしているとも言える。

5.行政の活用

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自治体としては寄付額を増やしたい、企業としては売上を伸ばしたい、というところで、ふるさと納税は官民で利害が一致する。ふるさと納税に本気で取り組んでいる自治体は多いので、行政を活用することができる。私が採用されたのはまさにその例だ。

リソースについて、自治体のサポートがある。サイト掲載などは自治体が行うし、発送作業も同様だ。ふるさと納税において自治体経由で全国にPRし、寄付額が増え、地域としてのブランド価値が高まると、企業としてもさらにブランディングがしやすくなり、ひいては全国的に売上がさらに向上するという好循環を得られる。

ふるさと納税には支出できる総額が、調達にかかる費用も含めて総寄付額の50%まで、というルールがあるので、どれだけのチームを作れるかまだ未知数だが、自分も手を動かしながら、サイト掲載や発送などを行っていただいているパートナー企業とともに皆様のサポートができればと考えている。

6.地域内でもブランド価値が上がる

ふるさと納税に返礼品を提供し、全国で評判になることで、地元でも改めて認知され、ブランド力が上がっていると企業が感じている、という調査もあり、これは興味深いと思った。外からの評価によって、やっぱりいいものだったんだ、おいしいものだったんだ、という再評価がなされるのではないか。

観光PRやスポーツの仕事をしていて、全国をまわっていたときに感じたことだが、その土地ごとにとんでもなくおいしい食材や素晴らしいモノが多くあり、毎回刺激をもらっていた。それに対して、社交辞令かもしれないが、体感でいうと90%くらいの地元の人が恐縮して、「うちには東京と比べると何もありませんから」と言う。

余談だが、本当に地元の価値に気付いていないな、と思った例はたくさんある。ある県に伺ったときに海に近いところだったので、海鮮問屋が運営する食堂へ行った。エビ丼がメニューのトップにあったので、エビが有名なのかな、と思い、店員さんに尋ねてみたところ、東京に出荷すると色が悪くなってしまうエビだそうで、地元でしか消費されないとのことだった。観光客も多い地域だったので、「なぜそれをメニューに書かないんですか!」と、その価値について何もメニューに書かれていないことをもったいないな、と思いながら注文した。味は想像通り、新鮮で、とろみがあって甘く、感動する味だった。

希少価値の高いもの、特別な体験など都市部の人たちからすると価値の高いものがたくさんあるので、ターゲット顧客≒都市部のふるさと納税をする人、商品を買ってくれる人の目線からどのような価値があるか改めて見直すべきだと思う。

7.社会課題・地域課題解決、地域に貢献できる

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売上があがることでふるさと納税の寄付額が増え、その財源によって社会課題・地域課題を解決することができる。もちろんその企業にも売上があがるので自治体(地域)と返礼品提供企業の関係はwin-winにはなるが、返礼品を提供して売上を多くあげている企業は地域に貢献していると言える。

ナショナルブランドやすでに全国、世界でも第一線で戦っている企業はふるさと納税の市場に参画する必要性を経営面からはあまり感じないかもしれない。ただし、地域に貢献する、というところで、地域をリードしていく存在としてぜひ返礼品を提供いただきたいと思っている。知名度が高いブランドはふるさと納税でも強い傾向があり、寄付額が増えることは間違いない。

また、CSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)やCSV(Creating Shared Value、本業として社会問題の解決に取り組むこと)について、企業としてどう向き合っていくのかとも結びついてくる。企業として、地域課題、社会課題を解決していこうとする姿勢とふるさと納税で寄付いただいた予算の使用用途がリンクされていると企業側も腑に落ちて、返礼品の提供を行っていただけるのではないかと思う。そのためには、寄付した方にとっても、地域住民にとっても、返礼品提供企業にとっても共感できるような地域課題、社会課題解決に向けての使用用途を自治体側も設定する必要があると考える。


まだ現場に出ていない段階でこの記事を書いており、返礼品を出すことのデメリットももしかしたらあるかもしれない。例えば、小口での出荷が効率が悪い、在庫管理が難しくなる、などデメリットの面があるのであれば、教えていただけると大変ありがたい。また上記にあげたメリットについても、そんなことはあまり感じないよ、などでも率直にご意見をいただければと思う。返礼品提供企業の皆様と意見交換をする機会を持たせていただきたいと考えているが、お互いに建設的に話をして、地域発展に向けて一緒になってお取り組みをさせていただきたい。


この記事は、保田隆明氏の著書『地域経営のための「新」ファイナンス: 「ふるさと納税」と「クラウドファンディング」のインパクト』(中央経済社)を大いに参考にさせていただいた。的確な仮説設定と調査、示唆に富む提言に加え、ふるさと納税に限らない地方創生、地域活性化についても語られているので、自治体の首長、地方創生に携わる方におすすめしたい。クラウドファンディングについても研究されており、経営者の方にも参考になる良著だと思うので、ぜひ読んでいただきたい。


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