四季

日本には「四季」がある。
小さい頃は、暑いとか寒いとか…そんな感情だけ持ってた気がする。

多分……夏にはカブト虫がいるし、カエルもいるから嬉しい。
冬はお年玉貰えるし、誕生日があるからプレゼント貰える!とかそんな単純な理由で夏と冬が好きだった。

歳を重ね、夏は好きではなくなった。
だって暑いから!(子供の頃と感情変わってないけど)

四季の中で1番好きな季節は「秋」に変わった。

秋は良いよね。

何たって金木犀が咲く。

金木犀の香りって…本当に好き。
何なら金木犀の香りの練り香水とか買っちゃう。

「金木犀ってトイレの匂いしない?」とか言う人…居るよね~(笑)


いやいやいや…


強く香るとちょっとむせたりするけどね。

ちょっと涼しい秋風に乗って「ふわっ」と香るのが調度いい。

そして稲刈りしたての香りが好き。

幸運な事に、私には花粉症ってのがない。
いつ、どの季節にも思い切り深呼吸が出来る。

夏に深呼吸すると、ムッとした空気で息苦しくなるからあまりしないけど…
夏の雨の降り始めの香りは好きだね。
アスファルトが、土が…どんどん濡れていく香り。

秋になると…色んな自然の香りをたっぷりと深呼吸で体内に取り入れる。

稲刈りしたての香りが身体中に染み込む感じ。
金木犀の香りが、私の身体から滲み出ているような…そんな感覚。

2番目に好きなのは冬。
冬の空気も大好き。
体内が綺麗になる気がする。
そして夜に見上げた時の空が綺麗だ。


大人になって色んな場所で空を見上げるようになった。
大阪旅行へ行った時も、東京でも、地元でも…
昼でも夜でも。


空気が澄んでいるんだろう。
街の灯りが弱いから、空の星や月の光が負けない。
群馬では星が良く見える。
本当に綺麗に見える。

その昔、お風呂上がりに歯を磨きながら外に出て…吐く息が白くなっているのを眺めながらふと上を向いた。

星がめちゃくちゃ綺麗で、ずーーーっと私は空を見ていた。

おばあちゃんが「さわ、いつまで外にいるの!風邪ひくよ!」

と私を呼ぶまでずっと。

次の日熱出して学校休んだくらい、私の体は冷え冷えになっていた。

昨日、職場のお子を学校へお迎えに行った。
そのお子達の学校、正面玄関から入る時、大きな金木犀の下を通る。

昨日もいつも通り金木犀の下を通って玄関へ向かう。
ふっと金木犀の香りがした気がした。
でも、最近雨続きで、きっとお天道様不足の金木犀。
小さなオレンジ色の金木犀は、雨に濡れて咲いていないはず…
金木犀の香りは気のせいだと思った。

お子達の事を廊下で待っている間、私はふと窓際から下を見渡した。

すると…
涼しいけど雨で湿った風に乗って、やっぱり金木犀の香りがしたんだ。

香りの元を探ってみると…あの玄関の所の金木犀の木。

下の方は緑の葉っぱだけなのに、上へ向かうと1面オレンジ色の花が咲いていた。

気のせいではなかった!

少ないお天道様に向かって、「もっと照って!」と言わんばかりに小さな花達が頑張ってた。

「秋だなぁ」と呟いた所に、待っていたお子達が登場。

「おかえり」と言う私に1人の女の子が拙い言葉で、「たいまーせんせー!いにおいー」と。

「そだね!良い香りするね☺なんの香りか知ってる?」と聞く私に、頷くお子。

「え!凄いね!知ってるの?じゃあなんの香りだ?」と聞く私に…そのお子は…私を指さして…私に抱きつきながらこう答えた。



「○○せんせー!いにおい!○○せんせー!すきー!」


幸せーーーーーー!!

私の身体から金木犀の香りが滲み出ているということかな?

それとも…


御手洗の芳香剤か…?!







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