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工夫が必要、アクティブ・ラーニング(2019年7月15日)

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 読売新聞で添付の写真資料のような記事を見つけました。

 小見出しの「アクティブ・ラーニング 35人境に「進めにくい」」とあるのは実感としてわかります。また、この記事にには記されてはいないのですが、自己中心的な生徒や他者に対して否定的な意見ばかりを述べる生徒がグループの中にいると、それだけでアクティブ・ラーニングを実施をためらってしまうことがあります。

 ……とはいうものの、前者の物理的な問題については写真資料の記事の中でも、「グループ学習で議論をまとめやすくするため、A2サイズのホワイトボードをグループに配ったり、持ち物は空き教室に置いて教室を広くしたりと、工夫している例もあり、同研究所(筆者注=国立教育政研究所(東京))では「調査結果を参考に、ALを行いやすい学習空間の整備を進めてほしい」とあります。
 日本国語教育学会の全国大会では“アクティブ・ラーニングというのは、活動の形ではなく、子どもたちの頭の中がアクティブになることを言うのです”という意見も聞かれたことがありましたが、要は、子どもたちに与えられた言葉や表現、テーマがいかに他者と意見を交わす中でひろがり、つながりや違いが見えてくるかが重要なわけで、“形式”にこだわることなく“知的な営み”をどのように作り上げるのか、そのための問いや教材づくりが物理的な問題以上に重要だという気がします。

 また、後者の生徒の資質・態度等に関する問題については、普段からのクラス内での人間関係の成熟度や教師との信頼関係がやはり大事です。担任と相談して、うまく事前に担当者側でグループ分けをしておいたり、クラスによってはグループではなくペアワークのみで展開してみたりとったことでかわせることもあります。また、ある程度の高学年ともなれば、あれこれ先回りすることなく教員が勇気をもって生徒たちの自主性に任せてみることで、生徒同士で活動の円滑化をはかったり、活動を行うために必要なこと・正しいことを述べて軌道修正をはかる生徒が出たりもするものです。
 それでも不安がある場合は、グループでの活動や自由な発言の許容によって事前に想定される生徒の望ましくない行動を予測し、活動を始める直前に“こういうことをしたら授業全体がだめになるので認めない”と伝え、ルールを守らせると、こちらの心配は取り越し苦労で終わることも少なくありませんでした。

 生徒たちも、おもしろい作品であればあるほど、たくさんのことを考えて、人に聞いてほしいと思うものです。教員も勇気をもって、そうでありながら、使う場面や方法を精選して、アクティブ・ラーニングに取り組んでみるべきだと思うのです。

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