平成29年度全国学力テスト〔鶴田教授のご講演から⑤〕(2018年2月18日)
平成29年度全国学力テストの小学校国語B3三の問題は以下のようなものでした(正答率43.7%)。
【話し合いの様子の一部】の中の[ B ]のところで、田中さんは、【物語の一部】の言葉や文を取り上げながら、松ぞうじいさんやとび吉がきつねであると考えたわけを話しています。
あなたが田中さんならどのようなわけを話しますか。次の条件に合わせて書きましょう。
〈条件〉
○[ ]の横山さんのように、【物語の一部】から言葉や文を取り上げて書くこと。
○取り上げた言葉や文をもとに、どうして松ぞうじいさんやとび吉がきつねだと考えるのかを書くこと。
○六十字以上、百字以内にまとめて書くこと。
※http://www.nier.go.jp/17chousa/17chousa.htm(国立教育政策研究所「平成29年度全国学力・学習状況調査の調査問題・正答例・解説資料について」)
この問題の趣旨は、「物語を読み、具体的な叙述を基に理由を明確にして、自分の考えをまとめることができるかどうかをみる。」ことにあります。
「具体的な叙述を基に理由を明確にして」というのは根拠の指摘(前回の内容から見れば「D事実」つまり「情報の取り出し」に相当)であり、それに対する「W理由づけ」(「推論=解釈」)をするというのが「自分の考えを述べる」ということになるかと思われます。
先にも示したとおり、この問題の正答率は50%を切っています。その理由の一つは、「根拠の指摘」と「理由づけ」が日本ではしばしば混同されていて、教育現場でもしっかり区別なされないままでの指導があるのかと考えられます。
子どもたちにどのように課題に取り組ませたらよいのか。講演はこの後、授業実践等におけるさまざまな事例の紹介へと移っていきました。(次回に続く)
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