「NEO揚げ足とり」のすゝめ
突然ですが、わたしの趣味は「揚げ足とり」です。性格が悪いでしょうか。陰気臭いでしょうか。いいえ、そんなことはありません。なぜなら、ここでいう「揚げ足とり」に悪意はないからです。前回、「人生を面白くするのは、笑いを生み出してやるという執念だ」との考えを述べましたが、「揚げ足とり」もその執念の一環だと思っています。そう、「揚げ足とり」とは、生活を明るくする知恵なのです。
「揚げ足とり」とは
そもそも「揚げ足とり」とはなんなのか?とお思いでしょう。わたし自身は、「身の回りの些細な違和感を感知し、決して見逃さず、工夫によって笑いに昇華する」こととして解釈しています。本来「揚げ足を取る」という言葉がもつ、「人を小馬鹿にする」といった意味合いをいったん排除し、「揚げ足」という名の違和感を純粋な笑いの素材として見定めるのです。そしてその違和感をいわゆる「ツッコミ」のような形で言語化する(=「とる」)ことによって笑いに昇華するという、まさに革新的なプロセスをわたしは提唱しているのです。
こうなると「揚げ足をとる」行為は本来の負のイメージから離れ、違和感から笑いを生み出すというハッピーかつ持続可能な営みに様変わりしますね。ちなみに、このような「揚げ足とり」を従来の意味と区別するために生まれた呼称が、「NEO揚げ足取り」です。
つまりは、「お題を見つけるところからスタートする大喜利」ともいえましょう。
揚げ足をとってみよう!
①揚げ足に出会う
それではさっそく実践していきましょう。まずは核となる「揚げ足」に出会わなければ始まりません。この段階において最も大切なことは、よく観察することです。至ってシンプルですね。家の中を探しまわっても良いし、近所へ散歩に出ても良いでしょう。とにかくモヤっと気になる「揚げ足」を求めて旅に出るのです。
さて、例として、わたしが今回見つけた揚げ足はこちらです。
いかがでしょうか、「アップルパイの中身」。とあるカフェのパンケーキのメニューからなのですが… うーん。モヤモヤする。アップルパイの中身が、アップルパイから離れて単体で存在してよいのか、疑念が湧きますね。
②揚げ足を「とる」
「とる」ステップのコツとしては、キャプションをつけるイメージでやってみることです。Instagram世代のみなさんにとっては得意分野かもしれませんね。とにかく、初めから「ツッコもう!!」と力まないこと。そうなると案外言葉は出て来づらくなるものです。自然体で「揚げ足」の違和感と向き合い、自分の言葉でそれを言語化するとよいでしょう。たとえば、先ほどの例に対しては、「外身あってのアップルパイだろ」と。こうすることでやっと「アップルパイの中身」、つまり「揚げ足はあなたに「と」られる。そう、違和感が笑いに昇華したのです。
「NEO揚げ足とり」に際して
「揚げ足をとる」ためのステップは以上の2つになりますが、わたしはそれを身の周りの人たちとシェアすることをおすすめしています。はじめに、「揚げ足とり」とは生活を明るくするための知恵だと説明しましたね。本来そういった知恵は分かち合うのが私たちのあるべき姿でしょう。とった揚げ足を家族や仲間とシェアし、自分にはない発想に感心してみたり、共通の揚げ足を一緒にとってみたり…。このように、「NEO揚げ足とり」の楽しみ方は百人百様、無限大ともいえます。1人よりも2人で、2人よりも3人、さらにもっと大勢で揚げ足をとって楽しんでみてください。
それに、「揚げ足とり」の魅力はそれだけにとどまりません。あなたが揚げ足を探すとき、世界を眺める姿勢はいつもと明らかに違っていませんか。煩雑で、良くも悪くも情報過多なこの世界で、あなたは「面白いこと」、つまりポジティブなものを探そうと、目を輝かせているのではないですか。そう、「NEO揚げ足とり」をきっかけに、世界観が変わることだってあるのです。大袈裟かもしれませんが、わたしはそう信じています。みんなたまには嫌なことなんて忘れて、好きなだけ揚げ足を取ればいい、世界は笑いの種に満ち溢れているのだから。おもしろいものをおもしろいと思う心を失ってしまっては人間何もできません、そうでしょう?
事態がゆるやかに収束へと向かい、好きなところへふらっと赴くことが許される日もそう遠くないしれません。そんな時はきっと「揚げ足とりとかあったな」なんて思い出してみて下さい。あなたの違和感をくすぐる揚げ足が、きっとどこかであなたのことを待っているでしょう。見つけたらぜひ、教えて下さいね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?