LIKEとLOVEの狭間で
困った。
このnoteは屁理屈大好き人間である私が、お題に対して屁理屈を好き勝手に綴るという趣旨で始めたものだが、困った。
どのお題に手をつけていいか分からないのだ。
前回は初回だったため、まあ自己紹介でいいやと思って軽い気持ちで書いた。
ところが、その先のことを全く考えていなかった。つまり、次に何を書くか全く決めていなかった。こういう見切り発車のようなことを私はふだんあまりしないのだが、一体どうしたものか。
とりあえず募集中のお題を眺めてみる。実に37個のお題が理路整然と並んでおり、まるでその様は平城京の土地区画のようです。いやまあそれはどうでもいいんですけど、ともかくどこから手をつけてるべきか迷ってしまう。
考えあぐねた末に、部活の思い出、読書感想文、我が家のペット自慢、など書けそうなものから書いていくことにしようと思ったそのとき、いくつかハテナと思うお題があることに気が付いた。
何かというと、
「スキしてみて」
「とは」
「コンテンツ会議」
などである。
例えば、一体「スキしてみて」とはどういうことなのだろうか。もっといえば、どういう場合に使うのだろうか。
そんなのお前、そのハッシュタグをクリック(タップ)して他の人が書いた文章を読めば分かるだろ、という的確な批判が来そうですが、それでは面白くない。実際に何も分からない状態で「スキしてみて」の文章を作り、その後でいったい巷の人々がどんな文章を書き上げているのか照らし合わせてみたいと思う。もしも私が常識人であれば似たような文章が並んでいるだろうし、頭のおかしいぶっ飛んだ人間であれば明らかに場違いな文章が混ざる、ということになる。
スキとは何か
さて、では考えてみたい。
まず、「スキしてみて」の意味である。いくつか注目すべき点があり、最初は「スキ」について。
スキというのはnoteにおけるイイネ機能のことだ。それぞれの投稿に対し、赤枠で囲われたハートのアイコンをクリック(タップ)すると「スキ」したということになる。
ここで一つ疑問が湧いてくる。なぜ、「イイネ」ではなく「スキ」なのか。
例えばTwitterやInstagram、Facebookは似たような機能のことを「いいね」と呼称している。中にはFavoriteという単語から生じた「ふぁぼ」という呼び方をしている人もいるらしい。とまあこのように、いいねという言い方をするツールの方が圧倒的に多いのである。
しかし、このnoteだけはあくまで「スキ」なのだ。その背後にある意味を想像する。
結論だけ先に書いてしまうと、それは愛情の度合いの違いなのではないか。
少し考えてみてほしい。まあ何でも良いんですけど、例えば何か対象物があって、それに対して「いい」と思うときと「好き」と思うときとではどう違うだろうか。
「この街はいいよね」と「この街は好きだな」
「このご飯はいいね」と「このご飯は好きだ」
「あの人いいよね」と「あの人好きだ」
もう3つ目のやつなんか、後者の方は顔真っ赤になっちゃうくらいですけど、明らかに好きの方がどっぷりとした愛を感じられる。だからいいねではなく好きなのだ。noteで発信されたものに対する並々ならぬ愛情の表現。それがスキの真相なのだろう。
そしてもう一つ、良いと好きには決定的な違いがある。明確さだ。
高校1年生のとき、数学の非常勤講師であるおじいちゃんの先生がこんなことを言っていた。
「みんなは良い人って言われた経験はないか?良い人って言われて、それを信じてはいけないよ。例えば、どうでもいい人かもしれないし、いなくてもいい人なのかもしれない。良いだけでは褒め言葉にはならない。」
どこからどうしてこんな話になったのかは全く覚えてませんが、ひどく印象に残る言葉だった。
良いという言葉は曖昧なのだ。
そこには必ず「どうして」だとか「どのように」というような補足説明がなくてはならない。「良い」という言葉自体には何の根拠も含まれていない。
しかし、「好き」となると話は違う。確かに好きという言葉にも根拠は含まれていないかもしれないが、好きであるためには何らかの根拠が絶対に必要になる。もし仮に根拠が無くとも(気付いていなくとも)、好きという言葉は自身に何かが響いたときにのみ発せられる。
まとめると、良いと好きでは愛情の度合い、曖昧さという点で相違が見られるわけだ。
ただし、noteでは「好き」ではなく「スキ」という表現になっているところに注意したい。なぜスキはカタカナ表記なのだろうか。
まあ好きってふつうに漢字で書くとなんか紛らわしいっていう理由もあるだろうけど、きっとそれだけではない。カタカナ2文字に含まれる意味とは何だろうか。
おそらくそれは応援だったり、お気に入りを表すためだったり、だいたいそのような意味合いなのだろう。違うかな。違うかもしれない。まあ別に私はnoteを初めて49日も経っていないようなド素人なので、間違っていても構わない。
このコンテンツを応援したいだとか、この記事の内容が面白かったからそれを認めたいとか、発信者により寄り添ったような印象を受ける。この点は、Twitterに押すいいねとは根本的に異なる気がする。Twitterなどでのいいねは本当に単純に良いとしか思っていないのではないか。そこに認めたいとか、応援したいというような意味合いはほぼほぼ含まれないだろう。
他者に対して承認し、さらに後押しをすることでモチベーションを上げたり、投稿してよかったと思わせることが「スキ」の2文字に含まれるメッセージなんじゃないかと今勝手に思った。
「してみて」とは何か
なんとなくスキという意味合いを書いたところで、次に「してみて」という方を考えてみたい。してみての4文字にはどんな意味があるのだろうか。
考えるうえで前提としてあるのは、スキをするかどうかというのは完全に自発的な行為だという発想である。本来、その投稿に対してスキボタンを押すか押さないかは受信者側の意思にかかっている。
しかし、それを「してみて」ということは、ある種の依頼行為だと解釈することができる。自発的に行われるはずのスキボタン押下を相手に頼んでいるわけだ。ねえねえ、スキしてみてよ、みたいな感じで。
なぜ依頼をする必要があるのか。この疑問に「スキしてみて」という言葉の違和感が全て集約されるといってもいい。
依頼をする理由に関しては2つほど考えを書いてみたい。
①承認欲求の爆発
いや、ここまで珍しくけっこう堅苦しく綴ってきたんで、ちょっと息抜きに変なことを書こうと思っただけです。人ってね、誰かに認めてもらえないと死んじゃうんですよ。これはもう太古の昔からそうで、狩りで成果を上げたいとか、将軍様のお役に立ちたいとか、こんな風に人間の行為の大半は認められたいからっていう理由で片付いてしまう。
だからスキしてみてという依頼もこの同一線上にあるのではないかっていう話。承認されないのなら頼めばいい。そこから生まれた表現が「してみて」だったという考えができる。
②新たな価値観を認知してもらう、興味を持ってもらう
ここからちょっとマジメに書こうと思ってますけど、自分の興味の範囲外だと人って恐ろしく適当になるんですよ。私だってよく分からないアイドルの話とか、信号機のメーカーの話とかされたらたぶん適当に相づちを打つと思う。
でも、それで終わってはいけない。もし自分がそのアイドルに対して全く興味が無かったとしても、信号機のメーカーに興味が無かったとしても、その中から少しでもそそられる要素を探すべきなのだ。興味が無い、と言って切って捨てるのはとても簡単だけど、その後には何も残らない。あーあ時間を無駄にしたよ、くらいのことを思うかもしれない。
だからこそ、共感できる部分を探してみる必要がある。一見面白くなさそうな内容の話でも、自分が好きだと感じられる部分はないだろうか。これを探すことで、ちょっとは人生が楽しくなる気がする。
そしてそのきっかけ作りが「スキしてみて」なのだろうと思う。
スキしてみようと思ったら、投稿の中からスキだと思えるような要素を探してこないといけない。その探す作業から新たな発見をしたり、知見が深まったりする。
ただし、ここで注意しなくてはならないのは「強要」との線引きである。相手に「スキ」することを強要してはいけない。だって強要されたって面白くないじゃない。無理強いされたって気が乗らないじゃない。
この強要との明確な線引きのために存在するのが、スキして「みて」の部分なのだ。「スキして」と「スキしてみて」との間には大きな差が存在する。例えるならばヒマラヤ山脈くらいの差がある。
スキしてみてという語感には、やってごらんとでもいうかのような柔らかさがある。強要などを感じさせる要素は見当たらない。
まとめ
思いつくままによく分からない理屈を並べてきたが、これでなんとなく「スキしてみて」の意味が分かってきた気がする。他者の投稿を応援することで、発信のモチベーションにつなげる。また、仮に自分の関心事ではない投稿だとしても、共感できる部分はないか、好きだと思える部分はないか、というようなことを見つける契機になる。それが「スキしてみて」に込められた意味だと私なりに結論づけたい。
最後に付け加えておくと、そうは言ってもやはりスキするかどうかは個人の裁量次第なので、全員が全員「スキしてみて」の通りに行動するわけではない。これは強要では無いので、自由な意思決定の後押しくらいの受け止め方をすればよいのだろう。
最後に
お前数行上で「最後に付け加えておくと」とか言ってたくせに最後じゃないのかよこのホラ吹き野郎、とか言われそうなもんですが、「スキしてみて」の他の投稿を読んでの感想を述べて終了としたい。
とりあえず、note公式さんが投稿していたスキしてみてというお題の説明を読んだんですが、あのですね、どうも全然話が食い違っていたみたいでですね、なんかスキした人に画像が送れる機能が実装されたから生まれたタグらしいんですよ。ちょっとだけ引用させてもらいますと、
noteでは、スキのお礼メッセージに画像を設定できるようになりました。これにより、スキボタンを押してくれた読者に対して、文言だけでなく画像でもメッセージを伝えることができます。これを機に、クリエイターと読者のつながりをもっと楽しんでもらいたいという想いから、お題企画「 #スキしてみて 」をはじめます!
ということらしいんです。
後半にある「クリエイターと読者のつながり」あたりはなんとなく私の書いた内容と通じる部分があるものの、どうもこのタグが出来た背景はもっと違うところにあるようだ。
これではいけない。私もnote公式さんの言う通り、スキのお礼機能のメッセージと画像を強化することにしたい。
といっても何をすればいいか全然分からないうえにそんな画像なんて大して持ち合わせていないので、とりあえず世界の各言語でありがとうという意味の言葉をお礼として登録することにします。画像はよさげなものがあれば登録します。
今回わかったのは、ちゃんとお題の説明を読んでから書き始めましょうということ。次から気をつけます。
おしまい
お読みいただきありがとうございました。
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