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塩化ビニールパイプのSDGs

世界が脱炭素を目指すなかで、エネルギー以外の「石油製品のあり方」についても議論がされています。

その中でも塩化ビニールは使用量が多い素材です。塩化ビニールの多くは建材のパイプとして利用されています。

分かりやすい例では、雨樋や家の排水が流れて行くネズミ色のパイプです。一軒家でもマンションでもビルでも、塩化ビニールのパイプが使われています。

「塩ビ鉱業・環境協会」という塩化ビニルメーカと商社などによる会の発表では、「塩ビ製品は耐久性(長寿命)、断熱性、製造時のCO2排出量等の面で優れた特性を有しており、脱炭素や資源循環の実現に大きく貢献するものと考えています。」となっています。

確かに、塩化ビニルのパイプ類は建物と一緒に40年以上も使われていることも珍しくありません。頻繁に「使い捨てる」製品では無く、ライフサイクルが長いと言えます。

次に樹脂製の窓枠はアルミサッシに比べて断熱性が高いために、建物の保温に貢献するため家のエネルギー効率を高めると言っています。確かに最近の建物のZEH(ゼッチ)化には樹脂製の窓枠が使われています。

最後に製造時のCo2排出量が他の製品に比べて少ないとも、塩ビ鉱業・環境協会は主張しています。確かに各種金属系の鋼管(パイプ)と比べると塩化ビニルパイプの方がCo2の排出量は少ないです。

ただし、ICCEER(International Conference on Energy and Environment Research)で2020年に発表された論文によると、塩化ビニルはポリエチレンやポリプロピレンの製造時と比較すると多くのCo2を排出します。

非石油系の素材と比較すると塩化ビニルは環境負荷が低いですが、同じ石油系で比べると環境負荷が高いのです。

ただし、同じ論文の中に「Production of polymers in Japan(日本での塩化ビニル生産)」という段落がありました。

そこには、「日本の塩化ビニルは約半分がリサイクル生産である」と書かれています。50%がリサイクル生産であれば同じ石油系で比較しても塩化ビニルの環境負荷が低いと言えます。

日本の塩化ビニルメーカは、脱炭素の方向性に反しない形で事業を進めている状況が理解できました。

ただし、2050年に向けて石油や石油製品の使用量が減って行くと、石油産業の規模縮小により塩化ビニルを生産するための原料が高騰することも考えられます。

そう考えるとやはり、次の建材としてのパイプ素材を開発することや、塩化ビニルのリサイクル率をもっと高める等の努力が必要ですね。StaySDGs!!
#sdgs  #塩化ビニル #環境

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