リオデジャネイロ滞在記⑨ジーコと会う
ジーコと会った。
サッカー日本代表元監督であり、ブラジルの伝説のサッカー選手であるジーコと会って、ポルトガル語で話した。
今回はどんな経緯でジーコと会ったのかを書いていきたい。
マラカナンにサッカーの試合を観に行ったときに(リオデジャネイロ滞在記⑥の話)、隣りに座っていたブラジル人の男と話して、連絡先を交換した。
日本人でポルトガル語を勉強しながらブラジルを旅行してるんだよと言うと、そのブラジル人の男は少し考え込んだあとに、「お前はジーコに会いたいか?」と聞いてきた。
何だよその質問と思いながらも、まぁ会えるもんなら会いたいよねと答える。
この時点では実際に会えるとは全く思っていないので、このブラジル人の男のことをすごく怪しい人だと思っていた。
「本当に会いたいと思ってるなら、来週にまた連絡してくれ」と言われる。
でもジーコと会うためにあなたにいくらお金を払えばいいのかと聞くと、
「神を崇拝するのにお金は必要ないんだ」というおしゃれな言葉を残して、この日は解散。
親切すぎて怪しい。
次の週に連絡したところ、どうやら本当にジーコに会える機会があるらしい。
ブラジル人の男は怪しいが、ジーコに会えたらすごく嬉しいので、リスクを取りながらも金曜日の午後にジーコフットボールセンターを訪れる。
ここでジーコの出待ちをすれば、ジーコに会えるのだとか。
(もちろん関係者以外は立ち入り禁止で、誰でも入れるわけではない)
ひたすらにジーコを待つ。
待っている間に、鹿島アントラーズに選手として在籍していたビスマルクや、ジーコJAPAN時代に代表に同行していた理学療法士の人と話す。
中山、名波、福西、坪井などの名前がリオデジャネイロで聞けるのが新鮮だ。
そして待つこと3時間、ついにジーコが現れる。
Boa noite(ボアノイチ=こんばんは)とポルトガル語で挨拶すると、ジーコは日本人がいるとなんとなく気づいたのか、「はじめまして」と日本語で返事をしてくれた。
せっかくのジーコと話せる機会なので、
日本でプレーしてくれてありがとう。あなたはJリーグを作ってくれました。カタールワールドカップで日本がドイツやスペインに勝てたのも、あなたがJリーグを作るのに協力してくれたからだと思っています。
と、ポルトガル語で伝える。
どことなく嬉しそうな顔をするジーコ。
ジーコはすごく優しくて、お願いすると偽物のブラジル代表のユニフォームにサインしてくれて、一緒に写真も撮ってくれた。
丁寧に対応してくれて、少し世間話をしたあとで、「がんばってね」と日本語で言って帰るジーコ。
ありがとうジーコ、がんばるわ。
興奮が冷めやらぬまま、サインしてもらったユニフォームを抱えてホテルに戻る。
結論から言うと、怪しいと思っていたブラジル人の男は本当にただの親切な男だった。
旅行ではごく稀にこういうことが起こる。
最初の言葉どおり、最後の最後までお金も請求してこなかったから、サッカーへの愛からしてくれた行動なのだろう。
(それでも別れ際にある程度のお金は払った。向こうに何の得もなくて申し訳ないから)
ブラジル旅行の中でもかなり特別な日になった。
ありがとうリオデジャネイロ。
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