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徒サ日記#001 サウナとニルヴァーナ

はじめに断っておく。カレーを食べている人や、サウナを崇高なものだと感じている人は、今すぐ、ブラウザの戻るボタンを押してほしい。

サウナで気持ちよくなることは、特別なことではない。しかし、その気持ちよさを言語化したり映像化するときに、いかに特別な体験であったか強調するフシがあり、表現者は盛りに盛りまくる傾向にある。

名指しして大変申し訳ないけど、マンガ「サ道」のととのいかたなんて、ほとんどビョーキだ。とんでもない「ととのいマウント」である。

そういう風潮とは距離を置きがちな僕は、普段、サウナでととのったことを言語化しない。しないけれど、これで最初で最後だ。ある銭湯に行ったときの体験だけは書き記したい。

はじまりはいつもと何も変わらない。体を洗って炭酸泉と水風呂を少し楽しんでから、MOKUで体の水分を拭き取り、いざ、サウナ室。

3分ほど蒸されたところで僕は思ってしまった。

ヤバ。うんこしたい。

そのときの僕は3セットくらい我慢できるだろうとタカを括って、便意を放置したまま、2セット目に突入した。

それがいけなかった。もはや生き地獄。

はじめは「熱い…気持ちいい…うんこ」と分離された感情だった。蒸され続けるうちに感情の境界線がなくなって「熱うんこい…気持うんちいい…」に昇格して、最終的には脳内は完全にうんこに支配されて、茶一色(役満)に仕上がってしまった。

我慢ならず、5分くらいでサウナ室を飛び出して、掛け湯水風呂をマッハで回して体を手際良く拭いて、トイレに駆け込む。一本糞華厳落としを華麗に決めて安心したのもあるのだろう。溶けた。

あ………れ………???ディーーープリラッ……クスぅ………。

便座の上でしばらくまどろんでいるとトイレのドアをノックする音が聞こえ、現実に引き戻される。そろそろ出ようとウォシュレットのボタンを押して肛門めがけて水が放出されたとき、僕はニルヴァーナを完全に理解した。

あまりにも変態じみたトンデモ体験だったので、それ以来、つとめて、うんこはサウナ前に済ませている。良い子のみんなもサウナでうんこを我慢しないでほしい。お兄さんと約束だぞっ!

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