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おしり


『私今年で36ですよ!』
以前職場でスタッフの女性に言われた言葉だ。
正直驚いてしまった。もっと若いと思っていたからだ。年下かもと思って接していた。初代スーパーファミコンの話をしている中で、『まぁ、年齢的に知らないかもしれないけど』と置いた途端に切り返された。

人の年齢を感じる時はどういう時だろう。
例えば、ゲームなどを参考にした年代ごとの話題やあるある。言葉遣い。テンションや、肌の色艶。至る所で無意識に『この人はこのくらいかな』と判断する。その人は、肌ツヤも綺麗で、流行にも敏感で誰にでも腰が低くて、『丁寧な年下の子』と感じていた。

木には年輪があって、ある程度の樹齢などが分かる。思えば人にもほうれい線が深く着いたり、手のシワなどからその人の歴史を感じることがあるが、最近『歴史を感じるな』という人体の部分を発見した。

おしりだ。

サウナが好きだ。それはもう中毒で1週間行かないと『サウナに行きたい』と口から出るほどに。
先日、サウナで蒸されたあとキンキンの水風呂に入り、椅子に座って休んでいた。ふっと、目線を前にやると、ザッパァと水風呂からおしりが飛び出てきた。引き締まり、しかし年齢に抗えないシワが着いているにもかかわらず、肌はキメ細やか。長年サウナで汗を流し、水風呂で閉めて来たのだろう。とても綺麗なおしりだった。

それから、サウナに行く度人のおしりを注目してみるようになった。
大きいおしり、小さいおしり、しわくちゃのおしり、はりがあるおしり、たるんでるおしり。
おしりはもしかしたら、その人そのものかもしれない。きめ細やかなおしりは何となく丁寧な暮らしや、食生活などを感じるし、たるんでるおしりはなんだか愛着が湧いてくる。

人は見た目を重視する部分が多いが、普段の生活の中でその人のバックグラウンドを感じ取れるようになれば、世間の問題が少し減るような気がする。

1つ、問題が増えるとすれば、私がおじさんのおしりを見て『ほほぅ...』と眺めている変質者に見られることくらいか。

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