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猫とこわい夢のはなし

ある人の話だが、大病をしてもうだめだとなると、寿命でもない飼い猫が死ぬ。
するとその人は回復する。
しばらく経ってまた大病をする。
今度こそ危ないというタイミングで、やはり飼い猫が死ぬ。
するとその人は回復する。
猫が身代わりになる、という。

猫には魔を払う力があるとよく聞く。
私自身、些細な体験ばかりだが、怪しい事柄が続いた時期がある。
思い返してみると、その最中一年ほど猫と暮らしていたことがあったが、その間は何事も起こらなかったと思う。

話が変わるようだが、「こわい夢」を見ることがある。
私の場合、普通の夢からこわい夢に切り替わる境界がはっきりしている。
気配ががらりと変わる。
空気が毛羽立つというか濃度が変わる。
質量の違う異界モードに突入する感じか。
これは金縛りにかかる時の感覚と似ている。
このモードになった時、夢の中に必ず幽霊が現れる。
それに追われて逃げ回る。
これが私のこわい夢だ。
普通の悪夢(おかしな言い方だが)も見るが、そちらは空気感が変わることはない。
あくまで夢として認識できる悪夢と違い、「こわい夢」は物理的生理的な恐怖を感じる。
だから嫌なのだ。

今夜は寝苦しい。
30分ほどうとうとと夢を見た。
見慣れない家にいる。
友人や妹がいる。(気配がする)
もう真夜中。
みんな寝静まっているようだ。
廊下を歩きながら「でかい音で音楽流してもいいんだぞ!騒いでいいんだぞ!」などと誰かに呼びかける自分。
何故夜中なのにこんな事を言ってるのか疑問に思うもう一人の自分。
居間に入り椅子に座り、暗い部屋を見渡し何かを待つ。
誰も居ないはずの玄関の方から何かが来る気配が。
わちゃわちゃとした子供のような気配。
あ、これは「あれ」が始まるのか?と身構えると、いつの間にか腕の中に猫がいる。
すやすやと眠る生きものをモフモフしていると、こわい夢に突入することはなく、そのまま目を覚ました。

そう、今はこの猫と暮らしている。
猫は魔を払うんだ。

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