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「どうしても伝えたいと思うものがない人間はしゃべらなくていい」by 久米宏

先日、師匠(僕のアルバムのプロデューサー氏)と話をしていて、最近、トレンドに乗っかったちょっとカッコイイだけの曲が多いけど、魂の入ってないのって屑だよね、と。

「一体何が伝えたいんだ?」って曲、あるよね。テキトーにウケそうな言葉を並べただけの歌詞。トレンドを追いかけるだけのコード進行。「消費財」としての音楽。素晴らしいミュージシャンは多数いるけど、メジャーシーンでは超少数派。

伝えたい気持ちが高まって抑えきれなくなったから表現するのであって、それがないのに何を表現するのか、と。

確かに、流行りのコード進行と歌詞を適当に載せたら、簡単に今風の曲は作れるさ。でも、それに意味あるの?借り物は所詮借り物。あっという間に化けの皮は剥がれるさ。商業作曲家なら別だよ。飯食っていかないといけないから。
でも、僕らはあくまで表現者。
それをやっちゃあ、おしめぇよ、ってやつですよ。

僕は自分の中から出てくるものしか採用しない。
自分の中から出てきたメロディーと歌詞がかっこ悪くたって、それが自分。それを出さずに一歩引いてかっこつけてたら、そういうところが聴いている人にも絶対伝わる。自分自身をさらけ出した歌が受け入れられなかったとしても、それは自分自身が受け入れられなかった、ということだから諦めも付く。歌のせいじゃないから。

逆に、僕の歌を受け入れてくれた人は、僕のことを人間として受け入れてくれたんだと思う。これまでも僕の歌を気に入ってくれた人達とは、人間として強くつながっていられる。それって、自分自身を正直に表現できる芸術の凄いところだと思う。普段の会話でそこまで自分をさらけ出せないもんね。

(しかし、こんなこと、知り合いがわんさかいる SNS じゃ絶対書けないな(笑))

・・・なんてことを、いろはさんの投稿を読んで、考えましたとさ。

(文・写真:セキヒロタカ)


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