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短編小説

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#小説

比喩のロマンチシズム

  「蝋燭はさ、炎が主役だと思うでしょ」 真っ黒なスーツを着て暗闇に溶け込んだ田崎のおじ…

し
4年前
5

やがて星になる

「夜になったら、星をながめておくれよ。 ぼくんちは、とってもちっぽけだから、どこにぼくの…

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4年前
2

ミントとハゲ頭

※「ハゲ頭」というお題で書いた超短編小説です。 「やだな、また生えてきちゃった」 ある朝…

し
4年前
2

定刻の鐘

定刻を告げるベルが鳴った。リングブーツの網紐を引き結ぶ。20時30分。試合、開始。 あの人と…

し
4年前
2

荒野を走るもの

地平線まで続く大地を、灼熱の太陽が舐めるように焼く。革の水筒はもう空になって、腹の傷から…

し
4年前
2

灰色の階段と黒い死神 またはいかにしてジョーは天国への階段を下ったか

ある奇妙な夜の話をしよう。昔の話だ。君が生まれるよりももっとずっと前。この世の全ての金を…

し
4年前
3

真夜中のヘレン・メリル

今、窓の外は暗い雨です。 部屋もとても暗く、スタンドライトの光だけが、僕がペンを握る机に差し込んでいます。 あなたの教えてくれた、歌詞の意味もわからない古いジャズがとてもよく似合うこの部屋、 この机で、僕はあなたのことを書こうと思いました。これは日記ではありません。手紙でもないでしょう。ただ、あなたのことを忘れないようにしたいのです。 例えば、あなたに会ったのは入学式の日でした。僕と同じように誰とも喋らず、休み時間になると水飲み場で、飲みたくもない水を飲んでいましたね。 い

生きている

「石は生きている」 図書館で見つけた分厚い本のページの隅に、その一文は氷山の様に屹立して…

し
4年前
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